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「中小企業で働いて良かったと思おう!」
      〜客先訪問で報奨金、チャレンジ精神のプリモ販売〜
数あるIT技術の中で、便利なツールとして広まっているはずのグループウェア。しかし、中小企業での導入事例は残念ながらあまり見ることがありません。そんな中、グループウェアを導入し、活気あふれる職場を作り上げている企業があります。その名は「プリモ販売」。さて、どういう会社なんでしょうか。また、どのようにグループウェア導入に成功したのでしょうか。今月は、プリモ販売さんの取り組みについてご紹介します。まず第一回の今週は、プリモ販売さんについてのご紹介です。


    マイクといえば・・・

都島から少し北、大雨の中を10分ほど歩くと、立派なビルがありました。「プリモ」とちょっとノスタルジックなロゴで書かれた看板を見つけました。思ったよりも立派なそのビルに入ると、そこには綺麗な事務所に一人一台のパソコンが設置されています。「あなたも何度もうちの商品に触れているんですよ」と微笑む小河社長の言葉に、見せていただいたカタログで納得します。実は、プリモ販売さんは、カラオケ用マイクで圧倒的なシェアを誇る会社だったのです。

    マイク・電話機・・・

プリモ販売さんは、昭和32年4月に、音響部品の販売会社として設立されました。その後、開発・生産部門を立ち上げて、現在に至っています。

もともとマイクロフォンなどの音響製品を中心に取り扱っていましたが、80年代の第一次カラオケブームには、マイク需要が爆発し、売上を伸ばしました。その後、85年にNTTの電話機自由化を迎え、受話器用マイクロフォンで再度の売上急増、続いて家庭用FAXの普及期到来によって、さらに売上は伸びていきました。その後、95年の第二次カラオケブームにより、再度売上が急伸した頃、先代社長の息子である小河守さんが、社長に就任しました。35歳の頃でした。
「ちょうどその頃、携帯電話が世の中に広まってきた頃でした。小さいマイクはできないかという引き合いからはじまった商売が伸び、しんどくなってきた親父から社長交代と言われたんです。」と小河さんは当時を振り返ります。

    売れに売れたけれど・・・

すでに、プリモ販売の営業幹部として12年の経験をもっていた小河さんですが、いざ社長となると話はそう簡単ではありませんでした。
「親父の代に幹部として会社を動かしていたメンバーは、ほとんど親父と一緒に引退してしまい、残ったのは若いメンバーばかりでした。注文が殺到するのはありがたいのですが、正直会社を回していくことで必死で余裕はまったくありませんでした。」こうして次々と商品がヒットし、恵まれた営業環境の中、小河社長が率いる新生プリモ販売は船出したのです。




若いメンバーでスタートした新生プリモ販売。必死に社長業をこなす中、小河社長は、次々と自分らしさを発揮していきます。その自分らしさとは何だったのでしょうか。小河社長の「らしさ」をご紹介していきましょう。






    中小企業に勤めるのなら

社長交代とともに起こったスタッフの世代交代。必死で会社を回す若社長の小河さんの胸には、ある強いイメージがありました。
「どうせ中小企業で働くんやったら、カッコよく働こうや」と常々口にしてきたその言葉は、小河さんの信念でした。
「だって、面白くないでしょ。いくら学生時代に勉強せぇへんかったといっても、大企業に勤めた人と比べたら給料は安いわかっこ悪いわなんて二重苦ですやん」「どうせ中小企業のサラリーマンなんていう言い訳せずに、中小企業やからこそいっぱい給料もらってるねんって言いたいでしょ。中小企業に勤めてよかったって心から社員に思ってほしいんですよ。」「職場も暗くて汚いところじゃなくて、明るくてスマートなところでカッコよくね!」と微笑む小河社長が作り上げた仕事場は、本当に明るくてカッコイイ。気分も明るくなるはずです。

    がんばったらそれを評価

もちろん、カッコイイだけじゃなく、豊かになってもらうのも小河社長の願いです。
「売上高で歩合をつけるのは以前からやっていましたが、それじゃ結果しか評価できません。やっぱりお客さんのところに通う努力もなんとか評価したいと思い…」とはじめたのは、客先訪問件数で支給される営業手当。結果につなげるのは長い目でと考える小河社長。今までと目の色が変わった営業マンもいるとか。「中小企業に勤めて豊かになろう!」という社長の意気込みは、具体的なアクションとして日々会社に活力を与えているのです。もちろん、それは新商品の開拓でも発揮されます。「マイク屋の商社」だけでは生き残るのが難しいと感じていた小河社長は、爆発的に成長を続ける携帯電話の周辺事業を模索しました。そこで生み出されたのが「モバイルスティック」です。
3年前に始めたこの事業は、今では全国で唯一「ソフトと別に販売しているモバイルスティック」として引く手あまた。活用するシーンが次々と生み出され、営業マンにも新しい可能性を与えています。「これだけじゃなくて、今新しく始めたのが、携帯電話のすべての機種を取り揃えたテスト環境の時間貸し。次々と発売される電話機も、普段のお付き合いがあるからスムーズに取り揃えられます。自分たちがテストで困っていたからこそ、ニーズがあることがわかります」とは小河社長。目の付け所が違いますね。

    せっかく若いスタッフならば

明るい事務所。活気あふれる営業部隊。営業マンを後押しする新商品。でも、小河社長はまだまだ満足していません。「何も、いちいち会社に出てこなくても、これだけネットワーク社会になったのならば、どこでも働けるのではないのか」という疑問が湧いてきました。それに、自分自身がみんなの活動を「どうや?」と肩をたたいているだけでは、そこで得た情報を他のメンバーと共有できないことも不満です。
「せっかく良い営業活動をして成果があがったのであれば、同じ事を他でもできるはず。使わなければもったいない」とは、経営者ならば誰もが思うこと。「なるべく情報を共有し、風通しの良い職場環境をぜひとも実現させたかったのです」と意を決した小河社長は、グループウェアの導入を決めたのでした。




小河社長らしさを次々を打ち出す「新生プリモ販売」。とうとうそのアクションは、IT技術の導入へとつながって行きます。次回は、大阪府中小企業IT化協議会の活用支援事業として導入したグループウェア「アリノスマスター」をどのように社内に定着させていったのか。その苦労に迫ります。






    IT協の活用支援事業

かねてより小河社長の知り合いだったアイ・エヌ・シー株式会社の和田社長。その和田社長から、大阪府中小企業IT化推進協議会のASP活用支援事業として「アリノスマスター」を導入しないかという話がありました。グループウェア導入を考えていた小河社長にとっては、異存があるはずがありません。
早速和田社長より事業者推薦という形で申請を行い、2002年度の事業として採択されました。時は、2002年10月。グループウェア導入を考えてから2ヶ月が経った頃でした。

    アリノスマスターとは

ASP型のグループウェア「アリノスマスター」とは、いろんな意味で通常のグループウェアとは一線を画すものでした。これは自社のサーバーにプログラムを導入し、サービスを提供するものとは違い、ASP型(プロバイダのサーバーにプログラムを導入し、それを利用料金を払って必要なだけ利用するもの)で提供されます。また、NTTコミュニケーションズの提携サービスとしてセーフティパス(ICカード)を採用し、会社内はもとより、社外からでも高セキュリティな情報交換が可能になります。
このセキュリティ機能こそ、アリノスマスターが誇る新世代グループウェアとしての特徴です。社員のスケジュール管理などの基本的な機能はもちろんですが、特にナレッジ共有に威力を発揮する「ホットルーム」の活用が、社内の風通しを良くしたいという小河社長の目的に必須でした。

    ホットルームを作ったけれど

こうして導入された「アリノスマスター」ですが、導入当初はあまり機能しませんでした。社員の意見を求めるための「ホットルーム」に書き込みが増えないのです。営業2課課長の工藤さんは、「アリノスマスター」の活用のキーマンとして小河社長と二人三脚で導入を進めて来ました。
その工藤さんが当時を振り返ってこうおっしゃいます。「隣の人と話をするのに、何でわざわざパソコンにキーボードを使って書き込まなければならないのかと言われ、本当にどうしたものかと頭を抱えてしまいました。」ここで、活用支援事業の一環で送り込まれたITコーディネータの力が発揮されました。ITコーディネータの活躍とはどんなものだったのでしょうか。




導入したものの、「書き込むのが面倒くさい」という社員の声で壁にぶつかってしまった「アリノスマスター」。大阪府中小企業IT化推進協議会の活用支援事業として送り込まれたITコーディネータの恩村先生・木内先生が、その壁を破ります。いよいよ「アリノスマスター」を社内に定着するまでの苦労に迫ります。






    何故使わないのか

ITコーディネータの両先生は、社内の一人一人に聞き込みを開始しました。「何故書き込まないのか…?」というのも、導入キーマンの工藤課長が書き込んだ話題は、みんな閲覧はしていたのです。しかし、返事を書くものはいませんでした。ITコーディネータの先生の追及は、業務の流れにも及びます。グループウェアから得られる情報が中途半端なのではないか。社内のいろいろな情報を漏れなく掲載していないから活用されないのではないか。。。グループウェア活用を離れ、時には仕事の仕方・業務のルールにも及びました。ここで明らかになったのは、情報の内容もさることながら、はやり「書き込みが面倒くさい」という声をまず何とかしなければ、稼働率があがらないという結果でした。

幸い、アリノスマスターには、書き込み画面を工夫するための「フォーム作成機能」がありました。そこで、活用キーマンである第二営業課長の工藤さんが、ひとつひとつ実際の書き込み画面を調整して行ったのです。それは、口で言うのはたやすいことですが、業務の傍らで残業をして調整していくその努力こそ、現在の活用へとつながるアクションだったことは間違いありません。しかし、工藤課長は謙虚にこうおっしゃいます。
「社内の人じゃなくて、第三者、それも先生に指摘いただいたので、社内の雰囲気としても『やらなくては…』という方向に向いていけたのが良かったのだと思います。」 いえいえ、工藤課長の努力こそ、、、と思うのは、私だけでは無いと思います。


    こうして今では

グループウェア導入を考え始めてから1年、活用支援事業として実際に導入してから約10ヶ月。今では、「ホットルーム」は盛況を極めています。営業ヒントから、商談事例、はたまた単なる四方山話まで、1日休んでしまうと次の日見るのが大変なぐらいの書き込みです。しかしながら、工藤課長の努力は今も続きます。「書き込まれた商談報告をまとめたり、フォローしたり、手を抜く事はできません。」

こういう日々の努力で、ホットルームが維持されていることを最後にご紹介しておきましょう。えてして導入までで終わってしまいがちなグループウェア。これが本当の活用に至るには、運用側の努力と、時には第三者の意見、それと、もちろんソフトの魅力。そして、なによりも、使う側の意識改革、これらの全部がうまくハーモニーを奏でてこそなのだなと感じた取材でした。



みなさんの会社はいかがでしょうか?社内の風通し、いいですか?
活気あふれる企業風土のプリモ販売さんの事例は、
きっとあなたの会社の明日に参考になることでしょう。



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