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「 ITSSPへの取り組みのご紹介」 〜ITSSP事業について〜

なかなか進まない中小企業のIT化推進のため、色々な施策をご紹介してきました。今月の線客万来コーナーでは、その中の一つ、「ITSSP事業」について、その実例を交えながら、ご紹介させていただきます。まず第一回目は、それがどういうものなのかをご紹介していきましょう。


    ITSSPとは

ITSSPという言葉をご存知でしょうか?正式には、戦略的情報化投資活性化支援事業(愛称:ITSSP/ITソリューション・スクエア・プロジェクト)と言います。この事業は、経済産業省と情報処理振興事業協会(IPA)が平成11年度より始めたもので、より多くの企業が経営に役立つ情報化を実行することによって企業競争力を高めることを目的としています。

▼ITSSPホームページ  http://www.itssp.gr.jp/index.html

    ITSSPの事業内容

TSSP事業では、経営とIT双方に通じ経営者の立場でソリューションを提供する専門家である「ITコーディネータ」を創出するとともに、ITコーディネータを活用し中小企業の経営者がITによる革新を図るための様々な支援を行っています。

平成15年度のITSSP地域事業としては、次の6事業があります。

(1)経営者交流会
経営革新及び戦略的IT化について関心の高い経営者が集まり、共通の課題や目的について専門家(ITC等)の指導の下、意見交換しつつ相互啓発を行うと共に、実施に向けての事前検討をする事業。

(2)経営者研修会
経営革新及び戦略的IT化について意識の高い経営者が、自社の経営戦略立案及び情報化企画書の策定の手法を講義及びケーススタディ等の研修をしながら作成する事業。

(3)計画書策定コンサルティング
ITSSP事業等を通じてIT化を実施したいと考えている経営者が、具体的なIT投資をするためのRFP等の発注仕様書やIT化実施計画書作りまでを支援する事業。

(4)IT投資コンサルティング
RFP等の発注仕様書やIT化実施計画書作成まで至っている経営者が具体的IT投資を効果的に進められるよう、調達、開発及び運用の各段階に関する助言、モニタリングまで経営者を支援する事業。

(5)IT化事例発表会
ITSSP事業等を通じて他社の参考となるようなIT化を実施した企業の事例を紹介する事業。

また、このほかに情報提供事業として、各種のIT化投資事例の紹介や、イベント情報の提供などをおこなっています。

    ITSSPを具体的に利用した事例

ITSSPのホームページでは、実際にそれぞれの事業がどのように行われているのかについて、年度別に紹介しています。この中に、大阪商工会議所と、中小企業IT化推進協議会がコラボレートして取り組んだ地域事業があります。これは、四条畷商工会に加入している会社が、実際にIT化を目指して行ったもので、ITコーディネータを活用し、計画書策定、IT投資コンサルティングと進んでゆきました。





今年度のITSSP事業では、四条畷商工会の異業種交流会から数社がコンサルティング事業に採択されました。まずはその中の1社「上村金網工業株式会社」の取り組みをご紹介します。







四条畷市は、松原市・東大阪市と並ぶ、大阪府下の金網製造集中地区の一つです。河内木綿の産業が衰退した後、織機を使う新たな産業として発達したものです。特に四条畷地区は、亀甲金網をはじめとする金網業が盛んで、今もあちらこちらに金網業の看板を見ることができます。平成15年度ITSSP事業の取材として、まずは四条畷の山手に位置する創業76年の金網製造業「上村金網工業」さんを訪問しました。

    上村金網工業さん

「上村金網工業」さんの主力商品は、「ふるい金網」です。これは、採石場などで利用される「ふるい」用金網で、通常私たちが考える金網よりも、ずいぶんスケールの大きなものです。また、機械に装着して利用するためのフックを両端に備えている等、特定用途に合わせた特殊技術があるため、販路も流通もほぼ固定している中で商売を行ってきました。金網業界にも中国パワーが押し寄せて、ここ5年ほどは業界全体の生産金額が前年同月比2桁の大幅減という厳しい中、上村金網さんのような特殊用途金網については、下がってはいるものの、それほどの打撃をこうむることは免れていました。

「それほど下がっていないとは言うものの決して上がっていません。また、うちのような特殊金網は流通が固定化しているため、どうやって売っていったら良いのか営業に関して全く経験が無いのです」とは社長の上村一彦さんの言葉です。よく聞いて見ると、営業要員は全くおらず、固定卸からの注文だけでずっとやってこられたとのこと。それだけ特殊技術でしっかり同業との住み分けができているからこそですが、「マーケット自体が縮小傾向の中、このままではジリ貧です。今のうちに、自社の強みを生かして、販路開拓をしていかないと生き残れない」という上村社長は、今回のITSSP事業への参加を決意したのでした。

    計画書策定コンサルティング事業

計画書策定コンサルティング事業とは、具体的なIT化をどのように行うかについての計画書を作成するための取り組みです。上村金網さんには、恩村・木内のITC(ITコーディネータ)2名が派遣されました。そして、3ヶ月間で6回のコンサルティングを通して、具体的なIT化のスケジュールを作成して行ったのです。それは、次のようなものでした。

まず、6月下旬の第1回目では、ヒアリング中心に色々な問題点を洗い出しました。この作業は、IT化を行う準備として、現在の会社の経営環境や業務の流れを確認するもので、今後のIT化に向けての重要なステップです。次に、7月初旬には2回目として、IT化の具体的な課題提示、推進体制の確認を行いました。ここから具体的な内容や範囲の確認のためのコンサルティングを経て、8月末の6回目では、実行に向けての最終確認が行われたのです。

結果として上村金網工業さんのIT化の課題として挙げられたのは次の3つでした。

・1ステップ 内務業務のIT化(ターゲット:コスト圧縮、ITリテラシー向上)
        ホームページの活用(ターゲット:新規顧客開拓)
・2ステップ 製品情報支援《受注〜出荷》(ターゲット:納期圧縮:ムダ排除)




これらの課題に実際に取り組むため、引き続きITSSP事業の中の「IT投資コンサルティング」事業を活用しました。






    IT投資コンサルティング事業

IT投資コンサルティング事業とは、IT化投資の計画書を具体的に実行して行くためのコンサルティングです。上村金網さんでは、まずかねてより課題と感じていた「新規顧客開拓」のため、専用営業マンとも言えるホームページ作りに取り掛かることにしました。しかしながら、ホームページ維持のためのコストを産み出すためには、内務業務効率化も同時並行的に導入していかなければなりませんでした。そこで、コンサルティング期間の2ヶ月間では、この二つの取り組みを行うこととし、それに基づく予定を立てて行ったのです。

●ホームページ作成●
「何といっても営業マンがおりません。しかし、わが社の独自技術をアピールし、ふるい用金網以外のたとえばインテリア・エクステリア用金網などの受注に繋いで行きたいのです。」という社長の意向に沿い、『シンプル・驚きを与える・楽しませる』の3つのコンセプトが完成しました。古い業界を感じさせないスマートなホームページは、このようにして作られていったのでした。ホームページには、これらのコンセプトがしっかりと根付いています。たとえば、各ページにちりばめられた金網の写真は、すべて息を呑むほど美しいフォルムですが、美しいだけではありません。じっくり見ると、どこにも無いその縦横のパターンに、技術のほどが現れています。トップページにはflashによる金網の動画が配置されていますが、決して邪魔ではなく、シンプルで楽しませてくれるデザインとなっています。

●内務業務のIT化●
内務業務のIT化は、今後ホームページメンテナンスを行う人手を生み出すために、効率化を目的として行われました。対象業務は、会計・給与の2つです。ソフトウェアは、小規模向けのパッケージを購入しました。まずは、メーカー主催の研修会で使い方を学びました。ソフトウェアを利用するのは初めてですが、実際の業務は手作業で行っていたため、業務自体の知識はあります。そのため、研修会などを利用しながら使い方を覚えれば、導入していくのにはそれほどの苦労はありませんでした。「使ってしまえば、今までよりも楽になったと担当者が言っています」とは上村社長。慣れるまでには、それなりの時間や手続きが必要ですが、いったん使うと便利で重宝するのがIT技術。今後は業務効率化の目的であったホームページメンテナンスと、まだまだ新技術の習得が続きます。

    上村金網工業さんにとってのITSSP

さて、こうして終わったITSSP事業。上村金網さんにとって、今回の取 り組みはどうだったのでしょうか。上村社長に振り返って頂きました。

「まず、一つ目の計画書策定コンサルティングでは、自社にとっての経営課題などを改めて見直すチャンスをもらったような気がします」「今までもやもやしていたことが形になった。知らなかった部分や見過ごしていたことが多く、大変ためになりました」とおっしゃいます。計画書策定では「何を行うべきか」ということを専門家が助言し、具体的な課題としてアウトプットを作成して行くため、必ず結果がまとまるのが大きな成果。それは、なかなか自分ひとりでは完成できないことです。

「課題がはっきりしただけでなく、二つ目のIT投資コンサルティングでは、具体的に実行することが求められます。期日が来ればそこまでの取り組みを報告しなければならないという義務感のおかげで、実際にホームページを公開できましたし、社内業務のIT化も進みました」という社長の言葉に、ITCの定期的なコンサルティングがあってこそ、結果を得ることができたという実感がこもっています。ほとんどの中小企業では、IT化は課題としては分かっていてもなかなか実行できない分野です。ITSSP事業とは、そういう中小企業にとって「背中を後押しする専門家を得る」またとないチャンスと言えるのではないでしょうか。これから上村金網さんでは、製品情報支援に向かった取り組みが行われる予定です。今後の上村金網さんのIT化に期待したいと思います。




今年度のITSSP事業では、四条畷商工会の異業種交流会から数社がコンサルティング事業に採択されました。「上村金網工業株式会社」に続いて、「昌弘機工株式会社」さんの取組みをご紹介しましょう。







自動梱包機をご覧になったことがありますか?バッタンという音とともに、まるで魔法の様に青いビニールテープが縦横にかかるさまに、しばし見とれてしまった方も多いのではないでしょうか?かく言う私もその一人。どうやってそんなことが瞬時に出来るのか考える間もないぐらいの早業は、機械化の便利さに触れる一瞬でもあります。


    昌弘機工さん

「昌弘機工」さんは、その自動梱包機のメーカーです。特に、環境問題でクローズアップされてきた5mmテープの梱包機や手動梱包機ではナンバー1のシェアを誇る老舗メーカーです。SPOTブランドをご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。自動梱包機を作って47年、従業員も、約100名と、創業以来めざましい成長を遂げてきました。しかし、「この業界は、新規参入の無い業界。国内は固定の4〜5社でしのぎを削っているため、新しいことに取り組まなければ今後の成長は難しいんです。」と社長の高見さんはおっしゃいます。

この高見さん、四條畷商工会のIT関連部会の会長を務められるほどのIT通。既に自社のホームページも古くからお持ちです。ではなぜ今回のITSSP事業への参加を決意したのでしょうか。

    最初は軽い気持ちから

「とにかく、まずIT部会の会長の私がやってみないと、他の会員の手前あかんやろうと思いまして」と高見さんは正直におっしゃいます。何せITの事は専門家の知り合いも多く、自分自身がホームページを作ることもできる実力者。ITSSP事業には、それほど具体的なアウトプットを期待していませんでした。「でも、これがやってみたら予想をはるかに超える成果がありました。」

ITCの岩佐・中村両先生の主導で自社の経営課題が何であるかの洗い出しから始まった「計画書策定コンサルティング」では、ぼんやりとは認識していた数々の問題点を系統的に洗い出せました。
「それが、単に洗い出せたというのであればそれまでなんですが、そうではないんです。つまり、自分だけが色々とぼんやり考えていた問題点を社員の数人のグループで洗い出したので、問題点を社員と共有できたんです。」なるほど、普段から経営者という立場であれば会社の事をあらゆる方面から考えるのはあたりまえですが、一社員となるとなかなか難しいと言われます。これを実現できたということがメリットだったのですね。

    みんなで洗い出した課題とは

コンサルティングの結果、昌弘機工さんのIT化の課題として挙げられたの は次の2つでした。

1ステップ  ホームページのリニューアル(販売機会の拡大)
        グループウェアの活用(社内の情報共有)
2ステップ  生産管理システム(納期圧縮:ムダ排除)

これらの課題に実際に取り組むため、上村金網さん同様、引き続きITSSP事業の中の「IT投資コンサルティング」事業を活用しました。

    IT投資コンサルティング事業

IT投資コンサルティング事業とは、IT化投資の計画書を具体的に実行して行くためのコンサルティングです。計画書でターゲットとして決定した「ホームページリニューアル」「グループウェア活用」に向けて、具体的な取り組みが始まりました。

昌弘機工さんのホームページは、インターネット黎明期に既に今後のネットワーク社会を予見した高見社長が知り合いに頼んで作ってもらったもの。既に商品の説明などは出来ています。「これには、もっと対話性を加味し、お客様とのコミュニケーションを図れるようなものにしていきたいと思っています。」と高見社長。今まさにリニューアルに向けての活動が開始されようとしています。

    グループウェアの導入は

実は、昌弘機工さんにはすでにグループウェアが導入されていました。「以前はオフコンで処理していた事務処理を3年ほど前にパソコンに変えました。そのときに、色々な縁があって、グループウェアを導入したのです。でも、全く活用されていないままで・・・」ITCのコンサルティングによって、社長だけでなく、このプロジェクトのメンバーとなった複数の社員の方も、グループウェアが何なのか何ができるのか、今回の取り組みを通して改めて理解しました。「あとはもっと個人にパソコンが行き渡れば、活用できると思います。」という事務所には、既にLAN通信の設備も導入されており、本当の活用まであと一歩のところです。

「ITSSP事業を通して、本当に社員の意識が高まりました。これが一番の成果です。私ひとりが詳しくて、説明して回るのも一苦労だったIT活用ですが、このコンサルティングを良いきっかけにして、社員が一丸となって具体的なターゲットに向かって進んでいけると思います。それと、今回良かったと思うのは、社外の専門家の方に定期的に来ていただけることです。次回の訪問日程が決まっていると、ついあとまわしにしがちな課題作成をこなす後押しになり、計画を実際に前に進めることができます。本当に、IT事業に参加してよかったと思います」とは活動を振り返っての高見社長のご感想です。ITの専門知識を十分にお持ちの社長にとっても、社内に新しい風を起こすためには社外の専門家の刺激が有効なんですね。これは、皆様にも大変参考になるのではないでしょうか。

これからの、昌弘機工さんの具体的な取り組みに期待しています。



上村金網工業株式会社  http://www.uemura-kanaami.co.jp/index.htm
昌弘機工株式会社    http://www.shokokiko.com
ITSSPホームページ http://www.itssp.gr.jp/index.html
ITCホームページ http://www.itc.or.jp/index.html



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