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気がつけば一人1台のPCに『ダイワ販売株式会社』
        〜必要に応じて無理・無駄の無いIT資源の導入〜

先月の当コーナーでご紹介した「中川木材株式会社」勝弘社長が説くIT化の秘訣を覚えていらっしゃいますか?
「まずは小さい成功を体験することから始めることが大切です。」でしたよね。「アナログの仕事はたいがいIT化できます。だから、今困っていること、最初は小さな問題などがいいでしょう。それをITを利用して便利にするために、知識を知っている人に教えてもらって解決する。何度か繰り返すと、その成功体験を通してコツがわかってくるのです。(中川社長)」というアドバイスでは、今ひとつ実感が・・・と思われた方のために、今月の線客万来コーナーでは、実例をご紹介しましょう。


    ダイワ販売株式会社

中小町工場がひしめく西淀川区、もうすこしで尼崎というロケーションに、ダイワ販売株式会社という会社があります。
ダイワ販売さんは、船舶や陸上に使われるステンレス製のタンク洗浄装置を輸入販売しています。輸入相手先はデンマークなど北欧のメーカーで、国内のさまざまな業種に対して、専門的な形状のノズルを持つ装置を販売されています。取り扱う物が専門的なだけに、メーカーとのこまかい情報交換も必要で、事務所には当たり前の様に英語が飛び交っています。外観はどちらかと言うと古めかしい造りの事務所。内装もちょっと昔のタイル張り。冬になると石油ストーブがぴったり似合う事務所ですが、意外なことにすべての机にはパソコンが設置されています。

    まずはデモンストレーションパソコン

取り扱う商品が外国製であったため、自然とメーカーの販売方針に沿った営業活動を行っていたところ、商品のデモンストレーション用のパソコンを導入することになりました。平成5年、会社初めてのパソコン購入でした。「当時30万円のパソコン購入には少し迷いもありましたが、営業ツールであれば仕方が無いと導入してもらいました」とは総務の伊藤さん。しかし、パソコンを実際に使ってみると、ワープロではできない色々なことが出来そうな気もしていました。

    見積書を何とか出せないのか

営業の仕事に欠かせないのは見積書。まずはどれだけ見積書を出して成約できるかが勝負になるのはどの業界でも同じこと。でも、ワープロや手書きでは、見積書を作るだけでも時間がかかって大変でした。「以前と少しだけ違う見積りを作ろうにも、ひとつ変えたらまた全部書き直したり、合計しなおしたり、これがすぐにできたらどれほど便利かと皆な思っていたんです。」と伊藤さん。そこに、救世主が現れました。なんと、販売先つまりお客様にパソコンが大好きな方が居たのです。

当時、表計算といえばエクセルが広がってきたころでした。やりたいことははっきりしていました。まずは、「お客様の名前で見積書を検索し、再利用したい。それと、以前にさかのぼって提示した単価などをきっちり確認できるようにしたい」ということでした。
こうして、自分たちがまず困っていることを身近な人に解決してもらうという体験ができました。見積りシステムが稼動したのは平成6年の6月のことでした。




見積書発行で成功体験をつかんだダイワ販売さんは、パソコン利用が確実に自分たちの仕事を楽にするという実感をつかみました。






    見積り管理無事稼動

平成6年6月、知り合いに作ってもらった「見積り管理システム」が、無事稼動し始めました。当時は、1台のパソコンにシステムを導入して、皆がそのパソコンまで足を運んで見積書を作成していました。
数年経ち、見積書の数が次第に増えて、システム利用の待ち時間が出るようになって来ると、自分の机で作業を行いたいと言う要求が出てきました。予算と相談しながらではありますが、ぽつぽつとパソコン台数が増えてきました。すると今度は、人が作った見積書も使いたいと思うようになりました。詳しい人に相談すると、共用ドライブでの運用を薦められました。「共用ドライブ」とは、みんなが自分のコンピュータのハードディスクと同じ考え方で、別のコンピュータのハードディスクを利用できるようにするというものです。当然ですが、パソコン同士が繋がっている必要がありました。このニーズから、ダイワ販売さんはLAN接続の機器を導入していったのでした。共用ドライブの利用ができるようになるのと同時に、本当に共用のフォルダを作成することにしました。各自がパソコンで作成した色々な書類を、個人別フォルダに置くようにしたのです。こうすると、パソコンで個人持ちしていた色々な資料類を他の人も利用できるようになり、資料作成の無駄が減りました。

書いて行けば一瞬のような気がしますが、実は見積もり管理システムを使い始めてから、各自のパソコンがLAN接続されていくまで、4年もの歳月が経っていました。「そんなにコンピュータ化に必死で取り組んだんじゃなくて、必要に応じてやっていったら段々できてきたって感じですよ。」という総務の伊藤さんの言葉が物語るとおり、気がついたら誰かに声をかけて相談するという形で、結果的に進んだIT化でした。

    海外との直接の取引がもたらしたもの

そんな中、今までは国内の商社経由で輸入していた商品を、一部直接取引きするようになってきていました。相手のメーカーは北欧で、やりとりをするにも時差の関係で大変不便を感じていました。このお互いの不便を解消したのが、平成9年に導入した電子メールだったのです。平成9年と言えば、まだインターネットの人口普及率が10%にも満たない頃でした。「NTTに相談したら、OCNを紹介してくれたので、契約してメールを使えるようにセットしてもらいました。」という。使う側にとっては、それが新しいとか古いとかではなくて、単に必要だったから導入したという意識です。

こうしてメール専用に使うパソコンを設置し、必要な人がいつでもメールを送受信できるようになりました。同時にホームページの閲覧もできるようになり、思ったよりも色々なことができることが実感できました。しかしながら、ダイアルアップ接続ですから、時間(電話代)を気にしながらの利用でした。見積り管理システムを利用するため、各机にはパソコンの設置が進んで来ました。しかし、メールは専用のパソコンからだけ利用することができるだけで、それぞれの机の上では使えませんでした。




こうして個人用パソコンの導入も進み、ネットワーク利用もはじまったダイワ販売さん。必要に応じてどんどん導入していったIT機器やソフトですが、実は時間の経過と共に色々な不備が出てきてしまいました。






    共用ドライブで使っていくと

平成6年6月、「見積り管理システム」が、無事稼動。はじめは1台だけで利用していたシステムを、必要に応じて複数のパソコンから利用していきました。他の営業マンが作った見積りデータを参照する必要が出てきたので、見積書データを共用ドライブに保存し、複数台のパソコンから参照しながら運用していたある日、読み出せない見積書が出てきたのです。たまに起こる不具合かなとその時はあまり気にかけず、なおも運用を続けていました。

「すると、他にもそんな見積書が出てきてしまって、これは何かが起こっているんだとやっと気付いたんです。」
原因は、複数のパソコンから同じデータを参照していた時に、お互いの更新がぶつかって、ファイルを壊してしまっていたのです。また、取引先順に並べて見ることができるマクロプログラムの部分も不具合が生じてしまいました。あるパソコンの誤操作により、大切なプログラムの部分に上書きをして壊してしまっていたのです。
「何とかバックアップのファイルをコピーで戻して運用していました。でも、ファイルやユーザが増えるにつれ、頻繁にエラーが起こるようになり、根本的に解決しないといけないと思い始めたんです。」

    データベースシステムに

いつも身近な専門家に相談してきたダイワ販売さんは、今回の不具合を出入りのパソコン業者の営業マンに相談してみました。「すると、複数の人が同時に利用するためには、データベースシステムでないと駄目だとアドバイスがあったんです。」
しかし、そのパソコン業者では、システム開発はやっていないということ。何とかお願いして、知り合いのソフト会社を紹介してもらったのでした。ソフト開発の担当者に話をしてみると、いまどきは大掛かりなデータベースでなくても手軽なソフトで開発ができるということがわかりました。そこで、普通にパソコンショップで売っているデータベースソフトを中心にして、今までの仕事の流れを生かすことができるソフトを発注したのでした。こうして新しい見積り管理システムが稼動し始めました。最初のシステム稼動から7年が経っていました。実はこのとき、はじめてサーバーと呼ばれるパソコンも導入しました。同時に、新たに購入したA3プリンターを全員で利用できるように、プリントサーバーも導入したのでした。しかし、それらは既に市場では珍しいものでなかったため、大した出費にはならなかったそうです。

「もしも最初からデータベースシステムをサーバーで、というプランであれば、見積り管理システムはいつまでも導入できなかったかもしれません。当時はどちらもすごく高いものだったし、費用負担の点でまず無理だったと思います。でも、どうしても必要になってから見積りを取ったものは、どれもリーズナブルな値段だと感じるものだったので、計画がすすんだのだと思います。」と総務の伊藤さんが振り返ります。
もちろん、困ったときに身近に相談できる人がいたことも、また、その人が導入に無理のない提案をもってきてくれたことも幸運でした。

こうしてダイワ販売さんではサーバーで見積りデータを集中管理し、どこからでも必要なところから参照できるようになりました。実はこのとき、社長にはひとつ不満がありました。「これだけネットワークを使えるような環境になったのに、なぜメールは1台のパソコンからだけしか使えないのか」と言うことでした。しかし、普通にメールを使いたいのではありませんでした。「メールアドレスは今までどおり1つだけで良い。その送受信メールを皆で共有しつつ、各自の机からそれぞれがメールを使いたい」ということが希望だったのです。




どのように各自の机からメールを送受信できるようになったのか、また、その内容を共有したのかについて、レポートしたいと思います。






    皆が自分の席からメール発信

「これだけネットワークを使えるような環境になったのに、なぜメールは1台のパソコンからだけしか使えないのか」という社長の疑問は、早速見積りソフトの担当者にぶつけられました。とりあえず目の前にいる専門家に疑問をぶつけるのが社長のスタイルです。

「あ、それならば、各自にメールアドレスを割り振って、メールソフトにセットすればいつでも使えますよ」という担当者の返事に社長はさらに質問しました。「そのメールは、みんなが共通に見たり書いたりできるのか?」と。
そうです、社長は、各自がそれぞれにメールを送受信するのではなくて、代表のメールアドレスを全員が共有するというスタイルで、各自の机のパソコンからメールを使いたいと希望していたのでした。
「今までは、メール本文を各自のパソコンで作文し、それをメール用のパソコンに持っていって貼り付けていた。でも、それはあまりに無駄なこと。できれば自分のパソコンでメールを作ったら、その場で送りたい。それに、送ったメールの内容も、だれでも見られるように共有したい。そうしないと、得意先から問い合わせが来たときに、どういう返事を返したのかを確認できないので困る。」というのが社長の考えでした。普通にメールをセットすれば良いと考えていたソフト担当者は、その場で答えることができませんでした。Webメールサービスをどこかで契約することも考えましたが、ネットワークがうまく繋がらなかった場合に、今までのメールも見ることができなくなることもあり、運用上のリスクから選べなかったのでした。
「まぁ、不便だっただけなので、解消できればいいなというぐらいの気持ちで言ったんでしょう」ぐらいに総務の伊藤さんは思っていました。しかし、この不便を解消することで、またもや新しいITツールを手にしたのでした。


    グループウェアを導入

ある日、社長に電話がかかりました。例のソフト担当者からです。「社長、良い案がありました。10万円ほどかかりますが、いいですか?」という問い合わせです。「何かわからんかったけれど、とにかく10万円で実現できるのであれば、良いかなと思い、いいでと返事しておいた」という社長は、この返事で自社にグループウェアが導入されるとは思ってもみませんでした。

ダイワ販売さんにはサーバーが導入されていました。それは、単に見積り管理システムのデータベースを動かすためのものでした。担当者はそれにWebサーバー機能が付いているのを知っていたので、そこに売れ筋のグループウェアを導入することにしたのです。グループウェアでなくても、それこそWebメールシステムを導入する手もあったかもしれません。しかし、グループウェアに備わる掲示板機能・スケジュール管理機能など、オフィス業務にすぐに役立つ機能を同時に手に入れる方が、ダイワ販売さんのために良いとの判断でした。こうして、各自の机のPCからいつでもメールを送受信でき、内容を全員が共有することができるようになったのでした。もちろん、同時に色々なソフトが使えるようになりました。オフィス管理機能の活用はこれからですが、いつでも必要なときに動かすことができる状態になっています。
その後、事務所のLAN配線や電源の工事をやり直し、10台を超えるパソコン運用についての不安も解消しました。インフラ部分に何かあってパソコンが動かなくなると、今や仕事にも差し支える実感があります。いつの間にかそれほどまでに、ダイワ販売さんにとって「ITを利用すること」がライフラインとなっていたのでした。それは、特に無理をしたわけでなく、必要なときに、あるいは困ったときに、結果的に手に入れたものであったとの事が印象的でした。



何か困ったことが起こるたびに、自然にIT環境のレベルアップを図ってこられた今回の事例が、ITというだけで何となく前に進めない経営者の皆さんの参考になればと思っています。



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