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今の時代にあった染めを形にして行きたい
        〜8代目が守り伝える技術と心意気『阿波安』〜

オリンピックだ台風だとあっという間に駆け抜けた2004年8月、あなたはどのように過ごされましたか?気がつけば9月で新学期。学生の姿が町に戻りました。まだまだ暑い毎日ですが、朝夕の風にほのかな秋の気配も感じられる今日この頃。もうすぐ半期決算となる今月は、7月の特集でお届けした「伝統工芸の新しい取り組みサイト」でご紹介しきれなかった「阿波安染」の「阿波安」さんの話題を、取材記事を織り交ぜながらお届けします。夏祭りが終わっても、すぐに次は秋祭り。法被(はっぴ)新調予定の方は、必見のサイトです!


    まずは歴史のご紹介

阿波安染とは、東大阪市地区の伝統工芸品。8代目の「阿波安」ご主人、西田秀明さんが、現在ものれん・法被などを専門に日々創作活動を行っていらっしゃいます。ホームページには、阿波安の歴史が紹介されています。
「阿波安を興したものは名を安兵衛と申し、その屋号にもあるごとく阿波の国、鴨島(現在の徳島県麻植郡鴨島町上下島)の藍栽培農家の次男として生まれました。成人してのち、大阪から仕入れに来ていた藍問屋の紹介で大阪の中河内盾津(現在の近鉄花園駅の北方)にあった染物店に奉公し、藍染めの技術を修得いたします。・・」

この後一人前になった安兵衛は、今から約140年前の慶応元年、中河内郡天王寺村(今の東大阪市石切)に暖簾を構えました。このあと、今に至 るまで、その丹念な印染技法と深い色合いが支持されてきたのです。

    ホームページでは

この「阿波安」さん、もう長くサイトを運営されていて、カウンターも7万を超えています。その秘密は、「祭りといえば」「法被(はっぴ)なら」という、8代目の「祭り好き」がサイト全体に溢れているからです。中には、全国の祭りサイトへの膨大なリンク集、法被デザインシミュレーションなどもあり、祭り好きにはたまらない内容になっています。
もうひとつの注目は、一点ものの「のれん」です。「あ、あののれんも!」と思う、誰もが知っている有名飲食店をはじめ、ちょっとおしゃれなアクセント感覚で使いたい手染めののれんなど、たくさんの商品が紹介されています。





140年の伝統を誇る阿波安染の『阿波安』さん。八代目の西田秀明さんが発信する個性派サイトが光ります。伝統工芸の技術を誇る老舗のサイトが、アクセス7万件を超える人気サイトになった秘密は何だったのでしょうか。






    コンピュータは趣味のひとつ 

『阿波安』八代目の西田さんがホームページを開いたのは、かれこれ7年ほど前のこと。やっとインターネットもぼちぼち普及してきたかなという頃のことでした。もともとコンピュータには興味があった西田さん。趣味の車や釣り情報のサイトを作ってみました。

「ホームページで色々情報を発信すると、すぐに友達から反応があって、そら面白かったんですわ」。インターネットが持つ大きな可能性を実感した瞬間でした。元々仲間とワイワイするのが大好きな西田さん。同じ感覚で『阿波安』のホームページを作ってみました。思ったことを本音で語り、好きなデザインで表現できるホームページは、いつしか親しいデザイン会社のかっこいいデザインに、自分の思ったことを自由に発言できる場として、成長していったのでした。

    自分の言葉をそのまま使われて

こうして楽しみながら手塩にかけて育てたサイト、しかしながら、ある日ショックな出来事が西田さんを襲います。
『自分自身が大切に選んだ言葉を、考え抜いたデザインで表現していた我がサイト。それを真似されてしまったんです。」それは、同じような商売をするところでした。常に自分自身の技術に誇りを持って八代目ののれんを守る西田さんにとって、簡単に真似されてしまうのは、耐え難いことでした。
『もうホームページなんかやめたろかなと、その時はほんまに思いました。』とおっしゃる西田さんは、しかしながら、ホームページをやめませんでした。『まねされたりパクられたりするのは、本物の証拠。まねしたいほど良いということ』と思ったからだそうです。
「今でも似たようなキャッチコピーを使っているかなと思うサイトがありますけどね・・・(笑)」とは、余裕の弁でしょうか。




手塩にかけたホームページをそっくり真似されるという事件で、一時はページ閉鎖まで考えた『阿波安』八代目の西田さん。そんな西田さんが守る伝統とはいったいどういうものなのでしょうか。






    のれんを守るということ

実は西田さん、七代目と血縁ではありません。『子供もおらへんし、もう自分の代で閉めようかなぁって言う七代目に、ほんなら自分がやるわって言うたのがきっかけで・・・』と軽くおっしゃる西田さんですが、それだけで伝統を引き継げるはずはありません。長く『阿波安』に出入りしていた西田さんは、もちろん「お祭り」が大好きです。しかし、それよりも何よりも、祭りに根付く様式美、長年伝え継がれた伝統様式の中に、命を懸けて太鼓を担ぐ男衆の真剣勝負、その世界に身を置くことで自分自身も本物になることに魅力を感じたはずです。また、その心意気が「ほんまもん」であったからこそ、七代目が大切な「阿波安」の八代目を任せたのに違いありません。
しかし、その「のれん」とはどういうものなのでしょうか。


    これだけは伝えたいこと

西田さんは、若い衆に毎日繰り返し言う言葉があります。「手間ひま惜しまず、気持ちのこもった、色の深さが他にない、それが阿波安染や」と繰り返す西田さん。
「パッと見ただけで、心(気)が入っているかどうかすぐにわかるのが不思議」なんだそうです。「自分の技術やセンスは先代とは違うもの。でも、色の深さは、どこにも負けへん『阿波安』の色。ずっと守ってきた伝統は、手間と心でじっくり染めたほんまもんの深い色やと思います。」この心意気が、お客様にも届きます。「阿波安さんののれんは、変なとこには掛けられへん。お店の大事なところにしか掛けません」というお客様の言葉こそ、「ほんまもん」を作る職人にだけ与えられる最大の賛辞です。「その代わり、30年振りにのれんを掛けなおすと言われたら、損得抜きでやってしまって、もうかりません。」という本音も。

技術に値段をつけるのは、大変難しいことです。でも、「安もんを作ってたら良いもんが欲しいというお客さんに申し訳ない」ので、「高くても良いもんを欲しい人」のために、最大の手間と心を込めて、染めていらっしゃるそうです。さて、「阿波安」サイトには、オンラインショップがあります。そこで扱う商品はどういうものなのでしょうか?インターネットの向こうのお客様は、果たしてこういう西田さんの心意気を感じることができているのでしょうか?






創業140年ののれんを守る八代目。伝統の技術に対する心意気で長年のお客様とお付き合いする傍らで、どこの誰かも分からない相手とオンラインショップで対峙します。これらはどう違うものなのでしょうか?







    1枚でも法被をお届け

阿波安さんのホームページをごらんいただくと、まるでTシャツのオンラインショップのような錯覚に陥ります。1点ものの「手染め法被」から、量産ものの「既製品」まで、こんなに種類があるものかという品揃えです。驚くのは、それらを1枚から購入できるということです。
「手染めの場合、1枚染めるのも、10枚染めるのも、50枚染めるのも、実際の手間はそれほど変わりません。つまり、枚数が少なければ単価が上がってしまうんです。でも、だから『やらへん』『でけへん』とは言いません。たとえ1枚の法被でも、うちが作らへんかったら注文してきた人は法被を着れません。祭りで法被が着られへんなんて、見過ごすことできますか?」「値段とご希望とに応じて、手染めや既成品を組み合わせて何とかご要望にこたえるのがうちの仕事です。」法被の注文は、どうしても時期が重なります。ただでさえ忙しい時期に、1枚ものの注文は手間ばかりがかかります。でも、それに答えてこそ、「阿波安」の心意気。

たとえ阿波安染の1品でなくても、お届けする先にある笑顔を思いながら、既製品も販売しているのです。「お客様に一番良い」法被をお届けした西田さんの引き出しは、全国からのお礼の手紙で一杯になっています。



    ホームページで商売するつもりは無い

「ホームページは、あくまでも自分の趣味の延長。思ったことを発信して、みんなに楽しんでもらえたら十分。」とおっしゃる西田さん、ホームページでは物を売ろうと思っていないそうです。「ホームページに色々な商品を載せているのは、お客様からの引き合いが多くて電話だと対応が大変だから」だそうですが、結果的にメール返信に追われてしまい、楽になった訳では無さそうです。
「海外からの引き合いもあり、いったいどうして日本語のページを見たんやろう」と思うこともあるそうで、そういう意味ではかえって大変になった部分もあるかもしれません。でも、いずれにせよ西田さんの言葉を読み、商品を見て注文してくれるお客様は、みんな「阿波安」のファン。祭り好きが集まっていることには違いありません。八代目西田さんにとっては、どちらもまったく同じお客様なのだと感じました。長年のお客様も、オンラインショップのお客様も、「阿波安」に集うすべてのお客様と「ほんまもん」のおつきあいをする西田さんが一つ不満に思うことがあります。「最近、店売り・ネット販売に限らず、商品をお届けした後で、感想を返してくれる人が減ってしまって残念なんですわ。」

人と人の繋がりが、伝統工芸の技術を後世に伝えます。どうぞ皆様、阿波安でお買い物をされた後は、かならず感想を西田さんまでお届けくださいね!

「阿波安」 http://www.awayasu.com/




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