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〜卸売りから新しい業態へ〜生活提案でエンドユーザの心をつかむ
        〜「Living Days〜鐘忠オンラインショップ」〜

大阪に昔から林立する卸売会社。船場の過密化でたくさんの卸問屋が箕面に引っ越したのは昭和40年代のことでした。それから、船場といえば、本家の船場と、箕面の大阪船場繊維卸商団地、愛称「COM ART HILL」とが並び称されるようになりました。
今月の線客万来では、そんな箕面の船場の卸問屋「鐘忠(かねちゅう)株式会社」のネットショップ奮闘記をお届けしましょう。


    鐘忠株式会社

鐘忠株式会社は、昭和18年、先代の山内敏夫さんが繊維製品並びに繊維加工品の販売業として個人創業しました。その後、昭和29年に株式会社化、昭和39年には大阪市西区に6階建ての本社ビル竣工と、順調に発展してきました。

現在は、2代目の山内久男社長のもと、箕面の「COM ART HILL」に7階建ての本社を構え、東京支社、中国の関係会社と総勢180名の社員を抱え、寝装品の企画生産・卸を行っています。年商50億円と、業績が順調に推移しているのは、この間鐘忠株式会社が常に新しい業態への変革を遂げてきたからでした。

はじめは商社としてスタートした「鐘忠」でしたが、昭和55年には企画生産、昭和63年には自社生産を開始。単なる商社ではなく、商社機能を持つメーカーとしての地位を築いてきたのです。


    お客様のニーズを知りたい

順調に業績を伸ばしてきたものの、商社としてスタートした会社としての悩みがありました。それは、どうしても次工程が流通であるということ。つまり、卸売りとして商品を開発し生産しても、売り先が量販店や小売店である限り、お客様の顔が見えないということでした。

鐘忠ホームページには、「ホームフ ァッションは、私たちが作り上げる暮らしの中の物語。自分らしい感性を生かしてこそ、本当に居心地のいい空間になると鐘忠は考えます。だからこそ私たちは、寝装寝具、リビングから衣料まで暮らしに必要なアイテムをトータルにお届けしているのです。」と書いてあります。

この言葉どおり、居心地のいい空間をトータルに提案するためには、居心地よさを感じる「人」が何を求めているのかを的確にキャッチすることが大切です。

この悩みを解決するために、鐘忠株式会社が仕掛けた方策が、オンラインショ ップでした。自社商品の何が求められているのか、どういう点を評価されているのか、商品を沢山売るということよりも、そういう「生の声」を手に入れるためのオンラインショップです。

●「Living Days」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/canechu/index.html

● 鐘忠株式会社
http://www.canechu.co.jp/ 





こうして、鐘忠株式会社が始めたオンラインショップ「Living Days」。その ショップマスターとして日々奮闘する西田店長の話をまじえながら、どのようにサイトを立ち上げていったのか、開設8ヶ月で大成功の秘密は何なのかをお届けいたします。


 

    ガレージセールから発展

「鐘忠では、もともと年2回、ガレージセールと称して在庫処分セールを行っていました。それがなかなか好評で、わずかな日数の開催なのですが、いつも常連さんで一杯になっていました。本当は、もっと長期でこういうセールをしたかったのですが、いかんせん人手が無くできませんでした。でも、在庫品は常にある。それならば、ネットで売ってみたらどうかと思ったのです。もちろん、量販店の売り上げが落ち、以前にもまして在庫の損金が膨らんだというのが正直なところです」

店長の西田さんは、続けます。

「しかし、それ以上に切実だったのは、ものづくりに対する危機感です。それまでは量販店向けの商品 開発が主流で、消費者のためのものづくりができていませんでした。それは、ホームファッションを提案するといううたい文句とは裏腹に、単に流通におろしやすい商品開発をしてしまっていたためです。ここから脱却するために、お客様により近いところで商売を始めるということが狙いだったとも言えるのかもしれません。」

こうして、鐘忠のネットショップ「Living Days」がスタートしたのでした。


    何から始めたらいいのか?

ネットショップを始めると決めたものの、何から始めたら良いのかわかりませんでした。とりあえず、楽天に加入し、他の店舗などを見たり、ショップ開設の外注先などにあちこち当たりをつけながら、手探りで進めていきました。

「良かったのは、社内のデザイン部門を巻き込んで始めていたことで、商品の画像を用意してもらったりとか、画面デザインを相談することができました。」

数々の苦労の末に、やっと「Living Days」をオープンしたのは2005年3月のことでした。ここから、西田店長の本当の闘いが始まったのです。


    ネットショップをはじめたら

オープン当初から、商品は順調に売れていきました。楽天というモールは大変人通りの多いところですから、在庫処分品というもともとお買い得な商品に自然と注目が集まったのでした。

「商品の品質には絶対自信があります。ですから、価格が安ければ売れるのは当然と思っていました。」とは店長の西田さん。

どんどん商品を掲載し、お客様からの色々な問い合わせや感想などに、ひとつひとつ丁寧に答えていきました。

「今までは、卸でしたのでものを作って出荷する。作った在庫を残さない。ただそれだけに集中していました。ネット ショップを始めて、消費者と向き合ってみて、確かに作って、在庫を残さないのは同じですが、購入されたお客様から反応があるので本当に『ものを売って いる』という実感が湧きますね。これは正直、卸売りにはなかったです。」とおっしゃいます。

こうしてどんどんショップ運営の面白さにはまっていったのですが、それと同時にあるひとつの事実にも気づいていました。

「なるほどたくさん売れているのですが、どれもすごく安いもの。本当にお買い得なものが売れているだけなのです。この客単価では、どんどん増える受注や出荷の人件費をまかなっていけるのか、正直不安でした。」

●「Living Days」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/canechu/index.html

● 鐘忠株式会社
http://www.canechu.co.jp/ 





こうして、鐘忠株式会社が始めたオンラインショップ「Living Days」は、開設当初、もともとの商品力のおかげで順調な滑り出しの反面、客単価が低く、なんとか改善していかなければならないという状態でした。ここから西田さんはどのように巻き返しをはかったのでしょうか。また、そこまでこぎつけられた原動力はなんだったのでしょうか。


 

    売り上げがついてくれば

「ショップをはじめた当初、正直、社内がすべてショップに賛成というわけではありませんでした。なんといっても、今までと180度違う流通、客層、販売 方法を行うわけですから、とんとん拍子にオープンできたわけではなかったのです。そんな中で、実際のオープンにこぎつけられたことは、本当にうれしくもあり、恐くもあったのです。」とおっしゃる西田店長。

まさに背水の陣でした。

「社内の協力が得られないということは、なによりも精神的な負担でしたから、ショップの先行きがまったく読めないオープン直前が、一番しんどかったように思います。」

しかしながら、それは杞憂に終わりました。商品が売れたのです。

「はっきり申し上げると、やはり個人事業ではなく、会社の事業なので、結果を出す。しかも、短期間に。という、難しい問題をクリアするしかありませんでした。今は結果が出始めて、会社の評価も変わってきたので仕事はスムーズですが、結果が出てなかったらと思うと、ゾッとします。」


    どうしたら売り上げが伸びるのか?

さて、卸売り業から慣れないネット販売に乗り出した鐘忠さん。9ヶ月で社内も認める結果を出すことができたのは、なぜなのでしょうか。

「もちろん、高品質の商品が安いということが一番の理由です。しかし、それだけで売れるとは思えません。確かに安ければ売れるのですが、客単価が低く、店舗として成功とは言えないからです。では、どうしたらいいのかというと、正直良くわかりません。僕の場合は、とにかく必死でした。必死にお客様と向き合いました。すると、売上が徐々に伸びて行ったのです。」

確かに、「LivingDays」の掲示板は、お客様からの意見や質問に即時に答える西田店長の真摯な書き込みであふれています。一つ一つの書き込みに、「また次もよろしくお願いします」の気持ちをこめて返信する西田店長の姿こそ、前月比180%で売上が伸びたり、難問であった客単価の上昇を呼ぶ原動力になっているのに違いありません。


    ショップ開設から9ヶ月経ってみて

西田店長に、今困っていることは何かを尋ねてみました。

「売れて困ることはありませんが、会社自体は現在も卸が主体ですので、それに合わせたデリバリー業務・受注業務のシステムしかありません。ネット販売を含む小売用のシステムがなく、実際手作業の出荷業務をしています。これは大変コストがかかり、早急に何とかしていきたいと思っています。」

小売業それもネット販売という「小口のエンドユーザー相手に即時発送が必要な業態」では、卸売りのデリバリー・受注システムと同じものが使えないということですね。しかし、このことを見ても、出荷量がコストを無視できないぐらいになっているという事実があってこその悩みと言えるのでは無いでしょうか。

さて、最後に、これからのショップについて、どのようにお考えなのかを西田店長に尋ねてみました。

「売上額と成果だけを結果として捉えると、目的は果たしました。売上・粗利で言うと、全社でも上位に入ってきました。また、在庫処分ということであり在庫での販売でしたので、仕入れ・生産をせず、在庫圧縮にもなりましたので、当初の目的は果たしていると思います。」

しかし、西田さんは続けます。

「これは、結果が出ているから言えるのかもしれませんが、目的が果たせたといっても、卸で落とした売上をフォローできてるとは言えません。実際、量販店やその他の小売業は前年割れを繰り返し、専門店やネット販売の売上は前年より増加しています。その販売チャネルの変化を取り戻すにはまだ時間が掛かりますし、ネット販売全体から見たシェア率はまだ低いです。別モールへの出店や、掲載商品の拡大などを通して、もっともっと売り上げを伸ばして行きたいと思っております。あと、気持ちの点では、自分はがんばってるから今が最高とは思わず、まだまだ努力も結果も出し切れてないと常に自分にも言い聞かせてます。とにかく顧客第一。お客様に喜んでいただけるよう頑張っていれば、きっと売り上げは付いてくると信じています。」

西田さんのショップに注ぐ情熱は、お客様とのコミュニケーションに支えられています。手間がかかって大変なショップ運営ですが、その中で得られる「ものを売る喜び」があってこそ、続けていけるのだと感じました。これからの「LivingDays」に期待したいと思います。

●「Living Days」
http://www.rakuten.ne.jp/gold/canechu/index.html

● 鐘忠株式会社
http://www.canechu.co.jp/ 



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