.
〜平成19年度期末を迎える事業者のみなさま〜
       中小企業向け税制をしっかりお得に使っていますか?    

 例年になく雪が多い今年の冬ですが、いよいよ梅の季節がやってきました。 梅が終わると桜の季節。待ち遠しい春までもうすぐですね。でも、春を待って いるばかりでもいられません。3月に期末を迎える会社にとって、今月は最後 の踏ん張りの1ヶ月。うかうかとは過ごせませんね。
 毎年お送りしている各年度毎の税制優遇措置等の情報を、今年度もお届けす る時期になりました。原油高などに翻弄されて、世界経済が大きく動いている 中で、何とか持ちこたえている企業にとって、決算は頭の痛い問題ですが、何 とか少しでも良い決算をするために、制度を知ってうまく使ってくださいね。


    19年度決算における税制の注意点

平成19年度3月末決算の企業が注意しなければならない税制改定内容には、次 の様なものがあります。

1.減価償却制度

○平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産については、償却可能限度額  (取得価額の95%)及び残存価額を廃止し、耐用年数経過時点に1円(備忘  価額)まで償却できることとするとともに、250%定率法を導入する。
○平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産については、償却可能限度  額まで償却した後、5年間で1円まで均等償却ができることとする。
○フラットパネルディスプレイ製造設備等の法定耐用年数を短縮する。

2.中小企業関係税制

○同族会社の留保金課税制度について、適用対象から中小企業(資本金等が1  億円以下の会社)を除外する。
○実質的な一人会社(特殊支配同族会社)のオーナーへの役員給与の一部を損  金不算入とする制度について、適用除外基準である基準所得金額を1,600万  円(現行800万円)に引き上げる。
○相続時精算課税制度について、取引相場のない株式等の贈与を受ける場合に  は、一定の要件を満たすときに限り、60歳以上の親からの贈与についてその  適用を選択することができることとするとともに、2,500万円の非課税枠を  3,000万円に拡大する。
○エンジェル税制(特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特  例)の適用期限を2年延長するとともに、適用対象となる企業の要件の緩和  及び確認手続の合理化を行う。

3.金融・証券税制

○上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の特例の適用期限を1年延長する。

その他、国際課税、組織再編税制・信託税制等、住宅・土地税制などに改定が あります。



    19年度決算における少額資産のとりあつかい

このほか、少額資産について減価償却に含めるのか経費清算ができるのか、毎 年税制に変更があり、一体今年度はどうなのかわかりにくいですが、今年度末 については、次の通りとなっています。

○取得価額10万円未満の資産購入の場合
 減価償却をしないで、使用した時にその取得価額がそのまま必要経費となる。

○取得価額が10万円以上20万円未満の資産購入の場合
 減価償却をしないで、使用した年以後3年間にわたりその取得価額の1/3相当  額ずつを必要経費とすることができる。

○取得価額が10万円以上30万円未満の資産購入の場合
 青色申告者で従業員が1,000人以下に該当している納税者については、減価  償却費の計算をしないで、使用した時にその取得価額をそのまま必要経費と  することができる。ただし、取得価額の合計額300万円を上限とし、決算書  3ページ「摘要」欄に「措法28の2」と記載する。

もしも、償却方法を定額から定率に変更したい事業者は、3月17日までに「所得 税の減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出する必要がありますの でご注意ください。





 今月は、これらについての解説と、決算に際しての注意点についてお届けしま す。どうぞお見逃し無く!




    19年度決算における税制の注意点 その1

1.償却可能限度額及び残存価額の廃止等

 まずは、減価償却についての変更点をおしらせします。

減価償却資産について、取得年月日によって償却方法が異なります。

○平成19年4月1日以後に取得をした減価償却資産について

・償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価額が廃止。
・耐用年数経過時点に「残存簿価1円」まで償却が可能。

○平成19年3月31日以前に取得をした減価償却資産について

・従前の償却方法については、その計算の仕組みが維持されつつ、その名称が 旧定額法、旧定率法等と改められた。
・前事業年度までの各事業年度においてした償却費の累積額が、原則として、 取得価額の95%相当額(従前の償却可能限度額)まで到達している減価償却資 産については、その到達した事業年度の翌事業年度(平成19 年4 月1 日以後に 開始する事業年度に限られます。)以後において、次の算式により計算した金 額を償却限度額として償却を行い、残存簿価1円まで償却が可能。

(算式)
償却限度額=〔取得価額−(取得価額の95%相当額)−1円〕
                  ×償却を行う事業年度の月数/60

○新たな定率法の導入について

新たな定率法の導入によって、定額法の償却率の原則2.5倍に設定された 「定率法の償却率」(耐用年数省令別表第十に規定)が適用され、従前の制度 に比して、早い段階において多額の償却を行うことが可能になりました。

 今回の改訂は、主要国の中ではわが国においてのみ設けられている償却可能 限度額を廃止し、新規取得資産について法定耐用年数内に取得価額全額を償却 できるよう制度を見直し、残存価額を廃止するとともに、250%定率法を導 入し、償却率についても国際的に遜色のない水準にするというものです。
 経済産業省の試算によると、制度見直しにより、当初3年間で、損金算入額 が約8億円増加し、約3億円(実効税率40%)のキャッシュフローが増加す るということですし、中小企業にとっても、外部借入に依存することなく自己 資金で設備投資を行うことができるようになるため、減価償却費の増額は経営 上好ましいものと期待されています。

40年ぶりの減価償却についての大改定となりましたが、あなたの決算にはどの ような影響がありますか? 取得時期や償却の方法など、専門的な知識が無い と計算が難しい内容もあります。ぜひとも早めに税理士の先生にご相談くださ いね。

税務会計情報ねっ島 Tabisland
  http://www.tabisland.ne.jp/webseminar/genka/index.htm





 では、次週もお楽しみに。




    19年度決算における税制の注意点 その2

少額資産の取り扱いについて

まず、少額資産の取り扱いについて、基本を見ていきましょう。

【1】全額を取得した事業年度に損金として処理できるもの

 法人が取得した減価償却資産のうち次のいずれかに該当するものについては、 少額の減価償却資産となり、その法人がこの減価償却資産を事業用として使用 開始した事業年度にその取得価額に相当する金額を損金経理をした場合には、 その損金経理をした金額は、損金の額に算入されます。

 1. 使用可能期間が1年未満のもの
 2. 取得価額が10万円未満のもの

【2】3事業年度で全額損金として処理できるもの

 法人が取得価額20万円未満の減価償却資産を、事業用として使用開始した 場合には、その使用開始した事業年度から3事業年度にわたって取得価額の全 額を期間按分により損金経理することができます。

【3】取得価額30万円未満の減価償却資産の損金処理について

 中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成15年 4月1日から平成22年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した 場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算 入することができます。(平成20年度の税制改正で、当初の平成20年3月 31日が期限であったものが2年間延長されました。)

この特例の対象となる資産は、取得価額が30万円未満の減価償却資産で、適 用を受ける事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が300万 円(事業年度が1年に満たない場合には25万円に事業年度の月数を掛けた金 額)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの 少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。

少額資産の経費参入がどこまでできるのかは、毎年最新情報を入手しなければ いけない状況がここのところずっと続いてきました。本来でしたら今年度が最 後になる「30万円未満の少額資産の損金参入」が、2年間延長されたので、 しばらくは使えるみたいですね。今年度末までとあせって購入を考えていらし た方は、まだまだ使えますので、どうぞご安心ください。





 では、次週もお楽しみに。




    平成20年度中小企業関係税制改正のポイント

平成20年度の税制改正では、永年課題とされてきた事業承継税制について、 大きな改正が行われます。この改正により、中小企業経営者の相続税負担に関 する問題が一掃されます。また、中小企業の生産性向上・成長の底上げを促進 する中小企業投資促進税制、少額減価償却資産特例の延長や中小企業技術基盤 強化税制の拡充等が実現しています。

【1】中小企業の事業承継の円滑化

○ 中小企業の事業承継の円滑化に資するため、取引相場のない株式等に係る 相続税の納税猶予制度(相続等により取得した一定の議決権株式等に係る課税 価格の80%に対応する相続税の納税を猶予)を創設(21年度税制改正で対応し、 「経営承継円滑化法(仮称)」施行日(平成20年10月1日を予定)以後の相続 等に遡って適用)。

【2】研究開発税制・情報基盤強化税制

○ 研究開発税制について、投資のインセンティブをより高める観点から、試 験研究費の総額に係る税額控除(法人税額の20%を限度)に追加して、試験研 究費の増加額に係る税額控除と売上高に占める割合が10%を超える試験研究費 に係る税額控除とを選択適用できる制度を創設(法人税額の10%を限度)。

○ 情報基盤強化税制について、対象となるソフトウェアの範囲を拡大。また、 大企業については対象となる投資額に上限を設ける一方、中小企業の情報基盤 への投資を促進するため、中小企業については投資下限額を70万円に引下げ (現行300万円)。

【3】中小企業・ベンチャー支援

○ 教育訓練費が増加した場合の特別税額控除の特例について、中小企業の人 材育成に資する観点から、対象を中小企業に集中するとともに、中小企業が利 用しやすいよう、労働費用に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合に、 教育訓練費の総額の一定割合を税額控除できる制度に改組。

○ 起業期のベンチャー企業に対する資金を広く呼び込むため、エンジェル税 制を大幅に拡充し、設立3年目までの一定の特定中小会社に出資した場合に寄 附金控除の適用を認める制度を創設(1,000万円を限度)。

【4】減価償却制度

○ 項目数の多い機械・装置を中心に資産区分を整理するとともに、使用実態 を踏まえ、法定耐用年数を見直し。併せて、耐用年数の短縮特例制度について、 承認申請の事務負担に配慮し、手続を簡素化。

このほか、

◆少額減価償却資産特例(30万円未満の少額資産の即時全額損金算入)の延長
◆創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻還付措置の延長
◆交際費の損金算入特例(400万円まで90%損金算入)の延長
◆企業再生税制の特例措置を受ける私的整理の要件の緩和
◆農林水産業と商工業との連携等を促進するための所要の税制措置

などが注目ポイントになります。

20年度(一部は10月以降)の中小企業向け税制改革をよく理解して、ぜひ ご活用くださいね。

詳しい内容はこちらでご覧ください。

平成20年度税制改正の要綱(財務省)
http://www.b-mall.ne.jp/mailurl_nlued589.aspx





 来月のこのコーナーをどうぞお楽しみに。



このページの上に戻る▲