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「営業に出るよりも、
   いいふとんを作りたいんです。」

   〜ネットで営業を模索中。手づくりふとんの「Web Shop ひしや」〜
だれにもまけない商品を作りたい。営業に出ている時間があれば、それを使ってもっといいモノを作りたい。ネット販売の目的は、拡販ばかりではありません。今月号の線客万来は、商工会議所のb-smile(ネットショップ開店サービス)にいち早くご出店の、「Web Shop ひしや」ご主人澤井さんをご紹介します。


    おやじのふとん店

 澤井さんは、手づくりふとん店「ひしや」の2代目です。
「ひしや」は、京都山科に店を構える手作りふとん店です。若いときの澤井さんは、「忙しい時には、手伝いで配達を手伝ったりしたりしてはいましたが、別に何が何でもふとん屋になる気持ちがあったわけではないんです」。
そんな澤井さんがなぜ2代目に?
「サラリーマンとして一般企業で働いていたのですが、両親だけで作って売ってではなかなか手が回らず、それなら手伝おうかと気軽に戻ったんですが…」

    最初は営業とふとんの勉強から

 そんなこんなで実家に戻った澤井さんは、まずは外回りの営業仕事からはじめました。平行して、職業訓練校の「ふとん学校」でふとんづくりを学びます。

「ひしや」の営業として、外回りを14年。お得意先も付きました。順風満帆に見えたのですが、いつまでもそういうわけには行きませんでした。ふとんづくりとは、複数の素材を組み合わせてお客様の好みの堅さ、厚み、大きさの中綿を作り、お好みの生地でくるむという力の要る作業です。いつしか高齢の先代にはしんどい仕事になっていました。
「もうふとんをつくるのはしんどい」という先代の言葉で、澤井さんがふとんづくりを担当する事になったのです。作ってみると、澤井さんの中に眠っていた『職人魂』が目を覚まします。「いいふとんを作るのが面白く、できたらそればかりで生活ができないものかと感じたんです」。でも、澤井さんがふとんづくりをすることで、営業マンが不在となっていた「ひしや」の売上げは、徐々に下降線をたどり、ついには順調な頃の半分になっていましました。
そこで澤井さんが考えた次の手は…




営業マン不在となり売上げが半分になってしまった「ひしや」。このピンチを、2代目澤井さんはどのようなアイデアで脱出するのでしょうか?






    なぜか遠方から注文が

「そのころ、ウチのお客さんは、基本的には近所の人と、その親戚筋だったんです。それが、考えられない程遠方から注文が来ましてね。なんでやろと思い聞いてみると、どうやら近所の人からの口コミで拡がったらしいんです」。
「いい商品がある事さえ伝えられたら、日本全国が商圏になるのだと実感しました。それならば、ネット販売でいけるんじゃないかと」。
そう、営業マンを雇って解決するのではなくて、ネット上に新店舗を持つ事にしたのです。

    まずは勉強から

 簡単に人まかせにできない『職人気質』の澤井さん。まずは自分でホームページ作成の勉強を始めました。一つ一つ、本と首っ引きです。5ヶ月かかってやっと「手づくりふとんの店 ひしや」が産声を上げました。
「いつまで経っても完成しないホームページ…というか、いつまで経っても完成させない自分に腹が立って、新年用のカレンダーにホームページアドレスを入れたんです。そしたら、いやでもそれまでには仕上げるでしょう。」というのはご謙遜でしょうか。1999年11月初旬、新世紀まであと2ヶ月を切った頃でした。ホームページ作成にあたっては、「とにかく安心感を与える色使い、言葉に気を付けた」そうで、「ふとんについて、お客さんに知ってもらいたい色々な情報、たとえば素材の話など」のこだわり情報を載せました。
しかし、開店したものの、全く反応はありませんでした。このままでは落ち込んだ売上げをのばすことはできません。さて、次に澤井さんが打った手は…




やっとの事でネットショップ開店にこぎつけたのに、反応が全くなかった「ひ しや」。そこで澤井さんが再度考えた次の手は? 






    なぜ反応がないんだろう

「ホームページを出すにあたっては、本に書いてあるとおりに検索エンジンに登録しました。それに、うちの封筒やらカレンダーやら、住所が入る印刷物には全部ホームページアドレスも入れました。」
でも、反応は皆無。いったいなぜ?そこから試行錯誤が続きます。
ページには親しみやすいアニメーションを入れました。音楽も流してみました。でも、注文は来ませんでした。澤井さんは、ある日ふと『手づくりふとん』というキーワードでインターネットを検索してみました。すると、300件ものふとん店がヒットしました。すべて『こだわり』という形容詞が付いています。「正直、自分と同じ事をしている店がこんなにあるのかとショックでした」。
自分の店にどんな個性を持たせる事ができるのか、、、この300件の中で、「ひしや」がキラリと光るために、どうしたらいいのかを考える日々が続きました。

    決済方法はカードで

 もうひとつ、自分の店に必要だと感じていたのはオンライン決済でした。
「まずは、カード決済を何とかできないかと考えましたが、個人では加入することができません」。そこに、大阪商工会議所主催の「ECビジネス体感フェア」の案内が届きます。そこで、「e-shop開店サービス(※)」と出会いました。
このサービスを使えば、カード決済や、デビット決済を使うことができる上、b-smile(ビースマ)サイトで商品の宣伝を行うことができます。そこで、個人商店の他に、もう一店「Web Shop ひしや」を開店することにしました。あとは他店との差別化の手だてです。これを一体どうしていったらいいのでしょうか。

  ※e-shop開店サービス…現在の「b-SmileShopサービス」(大阪商工会議所)




決済方法は何とか方法が見つかりました。「地元のふとん屋」業には全く必要なかった他店との差別化とは何だったのでしょうか。澤井さんが打った次なるアクションとは?






    ふとんの前にまずはこちらから

 ネットショップでのふとん販売は、既製品であれば単に選んでもらえばOK。でも、手づくりふとんとなると、そういうわけには行きません。実際に商品の良さをわかって頂くためには、なにか品質の良さを「具体的な何か」でお手元に届ける必要がありました。
そこで、澤井さんが考えたのが「座布団」です。「座布団ならば、一つ買ってもらえたら、その良さに触れて、ふとん販売につながるんやないか」という訳です。そこで、あらたに開店した「Web Shopひしや」は、「座布団」中心の品揃えにしました。もうひとつ考えたのは、目玉商品です。「手づくりふとんに興味を持ってもらう前に、まず良い商品を格安で並べたら、見てもらえるかも?そのあとに、次はふとんを買ってもらえたら」。この考えから、格安の夏ふとんを出してみました。


    いざ開店

 開店されていかがですか?「いや〜、ほんまに商売は難しいですわ。今まで座布団1枚と夏ふとん1枚が売れました。まだまだこれからですなぁ」。
苦戦中の澤井さんですが、表情はなぜか明るい。それはなぜでしょう?
「今は、いったいどうしたらいいのかを、手探りで探している最中です。まだまだ実験しなあきません。でも、どんなやり方にしても、お客さんとのコミュニケーションが取れていったら、私のふとんに対するこだわりをお伝えすることができるやないですか」。澤井さんのネットショップに対する思いは、「売れたらいい」ではなくて、「良いものをわかってもらえたら嬉しい」からなのだと、思い当たりました。全国に300あまりの「手づくりふとん」ネットショップのなかで、「ひしや」がファンを獲得される日も近いことでしょう。あれから本店の方には、生地見本もアップされ、座布団から、あるいは目玉商品からその良さに触れたお客様が、自然と手づくりふとんへと誘われた時の準備も万端です。
あなたも一度手づくりふとんでゆっくり眠りたくありませんか?まずはオンラインでおためしあれ。


「ひしや」さんの連載は、今回が最終回です。ネットショップをご訪問された感想を是非お送り下さい。現在試行錯誤中の「ひしや」さんの今後に、あなたのご意見をお待ちしております。



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