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「〜損して徳とれ〜」
      中古鋳物設備のことならイモケンドットコム
色々な商材が、BtoBでマッチングされる昨今。色々な業種ごとに、そのトップランナーと位置付けられる会社が存在しています。今回ご紹介するのは、製造業の中でも歴史の古い鋳物業界で、創業46年になる鋳物材料商社の「鋳研商事株式会社(イモケン)」さんです。古い業界の中でトップランナーとして疾走する2代目社長、片平全俊さんが、中古鋳物設備を流通させるイモケンドットコムを立ち上げ・育てた、その努力の軌跡をご紹介しましょう。


    まずは私にまかせてほしい

 鋳研商事株式会社は、昭和31年に設立されました。
当初より、鋳物材料の商社として、京阪神地区を中心に、広く活動し、最盛期には40名ほどの従業員をかかえるまでに成長しました。しかしながら、景気後退のあおりで数多くの鋳物工場が閉鎖される中、自然と取扱量も減り、とうとう3期連続の赤字となってしまいました。

 父である前社長のもとで専務として活躍していた片平さんは、会社の財務体質や、営業方針を変えていかなければ、イモケンの明日は無いとの思いから、「私に会社を引き継いでくれ」と前社長に迫りました。そして、永年会社と共に苦労してくれた古参社員と共に、会社から身をひいた前社長の思いを一身に受け、33歳の若さで社長に就任したのでした。1998年のことでした。

    まかせてはもらったけれど

 前社長、古参社員の退職で人件費の負担が減り、黒字化は果たせました。それは、目先の一時期会社を存続させるために、なるほど効果のあることでした。しかし、10年後のイモケンを存続させるために、なにか「一手」を打たなければと、片平さんの苦悩の2年間が始まります。
「ほんまに、無策の2年間やったんです。これからどうなるんかなぁと、不安でしょうがなかったです」しかし、常に商売のことが頭から離れなかった片平さんのもとには、来るべくして大きな「転機」がやってきます。




鋳研商事株式会社は、創業46年の老舗の鋳物材料商社です。業界全体が非常に厳しい状況に陥るなか、先代から会社を引き継ぎ、会社再生を図ります。日々焦りの中で、無策の2年間が過ぎようとしていたとき、大きな「転機」が訪れました。その転機とは....?






    あ、こんなんもあるんやなぁ

 何か新しいアイデアはないものかと日々知恵をしぼっていた片平さんのもとに、「いらんもん整理するために、フリマ(フリーマーケット)に出店するから手伝ってくれへんか」と旧知の友人から連絡が入ります。フリマが何かも知らなかった片平さんですが、旧友の頼みに喜んで手伝いに行きました。商品として並んでいたのは、友達の不要品はもとより、人から預かったものもありました。
「仕入れがなくて、売上げ丸儲けの商売もあるんや」「友達の商品を預かって、売れたら売れただけの手数料というのは納得やな」「いらんと思って売る商品でも、欲しくて買う人がいてるんやなぁ」

 フリマでものを売るということは、片平さんの目にはとても新鮮に映りました。なぜなら、仕入れて売るのが当たり前の商社商売とはちがい、仕入れにお金が掛からない「預かり売り」というのは、キャッシュフローに毎月苦労する立場からすれば、目からウロコが落ちるものだったからです。

    自分自身がくやしくて

 不思議な出会いは続きます。
 鋳物業を営む知人から、「工場をたたむから、残った機械を何とかでけへんやろうか」という連絡が入りました。しかし、鋳物材料の卸売りしか行っていなかったイモケンでは、どうしようもありませんでした。その知人とは、仲人までお願いした恩人です。「どうして、あの人がしんどい時に、自分は何の力にもなることができないんやろうか?」人との縁を誰よりも大切にしていると自負している片平さんにとって、それは忘れがたい苦い体験になりました。
 そんなある日、ふっと気付いたのです。「『工場閉鎖で不要になった設備』を『フリマ』のようにお預かりして販売し、売れたら手数料を頂くという商売ができるのではないだろうか・・・」
イモケンドットコムが誕生した瞬間でした。




無策の果てにたどり着いた「商売のアイデア」は、結局人と人との縁のなかで自然に天から降ってきたものでした。それを具体的な形にしていく課程は、どのようなものだったのでしょうか。






    イモケンドットコムスタート

 やりたいことが決まれば、あとはゴールを目指して進むのみです。ホームページのデザインは、たまたま同じフロアにあったWebデザインの会社にお願いしました。案件の登録プログラムは、成功報酬を約束し、知人に無料で作ってもらいました。
 こうして、2000年10月に、イモケンドットコムがオープンしたのです。まわりの協力のおかげで、約30万円で作り上げることができました。10月のオープンから1ヶ月後、はじめてのお客様は、愛知県の会社でした。「商談のために、大阪まで来てくれはりました。商社という商売では、自分が行くのが当たり前やったのに、お客さんがわざわざ来て下さることが感激でした」
 このうれしさがそれからのイモケンドットコムの成長を支えます。今では登録プログラムを作成してくれた知人にも、毎月成功報酬を支払うことができるようになり、無償の協力にも応えることができたのです。

    アナログでも大成功

 イモケンドットコムは、中古の鋳物機械を流通させるBtoB市場です。つまり、そこに並ぶ商品は、どこかの工場閉鎖や、設備入れ替えに伴って不要になったものです。そういう情報をどのように集めているのでしょうか。
「実は、『中古鋳物機械といえばイモケンドットコム』というすり込みを行うため、掲載料の比較的安い業界紙に毎回広告を掲載したんです」「それも、同じ絵柄やと目に付かないので、毎回デザインを変えたんです」その結果、いまでは、「イモケンって中古のとこやな」とお客様の方から声がかかるほどになったのですから、大成功です。新聞紙面とは、少しアナログですが、実際に商品を売買するお客様の目に触れるものでなければ意味がありません。片平さんは、鋳物業界のおやじさんをターゲットに、イモケンを売り込んでいったのです。

 さて実は、イモケンドットコムでは、もう一つ、重要な部分もアナログなのです。それは、イモケンドットコムの柱とも言える商材さがしです。

    マッチングは人の手で

 もともと鋳物材料の商社ですし、イモケンドットコムでは鋳物設備流通を手がけているのですから、鋳物業界の色々な話題が耳に入ります。自然と耳に入ってくる話題の中には、もちろん工場閉鎖の噂もあります。ここからが、片平さんの出番です。
 直接現場に出向き、オーナーと1対1の人間関係作りが始まります。誠心誠意を尽くした結果、「あんたに任せる!」と言ってもらった時の喜びは、かけがえがありません。設備変更や業態変更などで不要な設備が出たときも同様です。「イモケンさんやったら何とかしてもらえると思って」と電話がかかってくるのは、地道に紙面広告を繰り返した成果に他なりません。

 さて、こうして足で集めた商材は、どのように稼働していたか、どういう人が使っていたのか、すべて解っています。「だから、売るときにも正確な情報をお伝えすることができ、お客様に安心してまかせてもらえます」。
 ホームページ上で商品取引をされているのかと思いきや、どうやら商材開拓も販売も、人の手を丁寧にかけていらっしゃる。ここらが成功の秘訣なのかも知れませんね。おまけに「もしも何かのトラブルが発生したら、それこそチャンスやと思って、とことん解決するまでお付き合いさせてもらいます」との心意気。実際にトラブルを経て、長いお付き合いがはじまった取引先もあるそうですから、社訓の「損して徳とれ」そのままのお話です。




幸先良いスタートを切ったイモケンドットコム。しかし、中古機械流通は、鋳研商事株式会社のある一部の業務にしか過ぎません。鋳物材料商社として46年の歴史を誇る、主力の材料卸業はどうなったのでしょうか。また、イモケンドットコムのこれからに懸ける片平さんの思いはどんなものなのでしょうか。






    本業にもプラス

 さて、鋳研商事株式会社は、元々鋳物材料の商社です。中古鋳物設備の流通に手を取られていたのでは、本業が疎かにならないのかと心配になってきます。
「いえいえ、機械や設備を買って頂くと、設置に伺います。その時に、相手が現在使っている材料がわかります。すると、うちにはこういう商品がありますっていう提案ができるんです。」
 実際に、これで新規顧客が毎月数件確実に増えているのだとか。「実感としては、元々は関西エリアだけだった得意先が、全国に拡がって何倍にもなった感じがします」。
 なるほど、この部分は、ネットの持つ『距離を超えて情報が伝わる』という点をうまく利用されています。ネットワークを使ってというよりも、ネットワークを仲立ちにしてお客様と知り合う機会をもらい、その出会いを色々な方向に花開かせているということでしょうか。
「今までは注文ありませんか?と御用聞きの受け身営業やった我々が、今ではお客様の方から何かいいもの無い?と声をかけてもらえる、あるいは、こんないいものありますよと売りにいけるんです。「ネットで商売をやった成果で一番ありがたいのはこの点です。」


    これからのイモケンは

 お父さんから会社を継いで4年、イモケンドットコムによって、新しい商品や販路を開拓してきた片平さん、これからの抱負は何でしょうか?
「日々あちらこちらのお客様のところに伺っていると、沢山の処理できていないほったらかしの情報があることが解ってきたんです。」「中古設備のニーズ・シーズだけやなくて、もっといろんな情報が相手を見つけられないままなっています。こういう情報を、自分がうまいことつなげられへんかなと思っています」「一つ一つの商談は、手がかかり、時間がかかるもの。でも、それをしんどいと思わずに頑張ってやり遂げたら、きっちり信頼してもらえます。そこまでいったら、儲けようと思わんでも、ちゃんと損はしないようになってます。」「あくまで鋳物業界で、頼りにされる会社、大きくなくても信頼される強い会社になりたいと思っています。」


鋳物業界にこだわって、人と人との関係にこだわって、片平さんの挑戦はつづ きます。



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