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「愛され親しまれる病院の
     HP導入記『恵生会病院』

      〜地域に安心と信頼の医療を〜
1994年に当時の厚生省に情報化推進連絡本部が設置されてから、医療現場のIT化が急速に進んできました。それから7年、政府が今年5月に発表した「IT基本戦略II」では、、国民にとって身近で重要な取組みの7分野のトップに「医療」が挙げられています。患者により優しい医療をめざして、「電子カルテ」や「電子レセプト」などの具体的な利用について提案されています。しかしながら、大規模なIT化を進められるのは、病床数500以上の病院いわゆる「大病院」であって、それ以下の中小病院・医院の場合には、導入が簡単ではありません。中小の病院が生き残りをかけて取り組むのは、それぞれの特色を生かす差別化です。診療内容やサービスに、どれだけ個性を発揮できるかが、これからの病院経営に最も大切なポイントなのです。


    恵生会病院とは

 東大阪市の東地区、全国に名前をとどろかせる「花園ラグビー場」から少し東に『恵生会(けいせいかい)病院』があります。13科の診療科目、9科の外来診療や、地域に根差した市民健診、人間ドックなど、まさに地域に根差す病院として1981年の開院以来多くの地域住民に親しまれてきました。また昨年は、「財団法人日本医療機能評価機構による病院機能評価審査」に合格し、益々信頼される病院としての実績を積んでいます。

    ホームページ設置

 会社ならば「会社案内」のホームページ。お店ならば「ネットショップ」。個人でも「趣味のページ」。と、今やインターネットで「何かをお知らせ」することはあたりまえになっています。さて、それならば、医療現場ではどうでしょうか。
 病床数500以上の大病院の場合、必ずと言えるほどホームページをつくり、病院までのアクセスや、診察時間・科・担当医という外来向け情報などを公開しています。それに比べて中小の病院・医院のホームページも、あることはありますが、遠くから外来に来る人が少ないという事情もあってか、その内容は大病院とは異なってきます。さて、恵生会病院がホームページを公開したのは2000年の春です。これは、大病院でも珍しいほど早いものでした。「当時のドクターに、趣味でホームページを作っている人がおりましたので、その人が作ってくれました」とは、事務部総務課の小杉さん。今もホームページで続いている「お知らせ」コーナーには、当時のお知らせが残っています。早々と設置したホームページには、『恵生会病院』ならではというポイントがありました。それは、たまたまコンピュータに詳しいドクターがいたという偶然ではありえない、病院の理念が全員に浸透していたことをあらわすものです。




東大阪市の顔「花園ラグビー場」のすぐ東に位置する『恵生会病院』は、2000年春からホームページを公開。情報公開にいち早く取り組んできました。もとはと言えば一人のドクターが始めたホームページ。そこで始まったサービスは、普通の病院が考えるコンテンツとはひと味もふた味も違うものでした。「地域に愛され親しまれる病院」が考えたホームページとはどういうものだったのでしょうか。






    まず「e-ご意見箱」を設置

 4月頭にホームページが公開され、病院へのアクセス、医療法人の紹介などのコンテンツがアップされました。ここまでは普通です。しかし、この次が普通ではありませんでした。次に公開されたコンテンツは、今も続く「e-ご意見箱」でした。また、引き続き公開されたのが「なんじゃ・かんじゃ掲示板」。こちらは残念ながら現在ではサービスを中止していますが、設置から約1年間に渡り、広く患者さんやそのご家族の方々などからのご意見を集めました。普通であれば、まずは外来担当一覧や病院案内を掲載する所でしょうけれど、『恵生会病院』では違いました。「病院内には実際にリアルな『ご意見箱』が設置されていて、いつでも皆さんのご意見を頂戴できるようにしています。けれども、どうせならばもっと書き込みしやすいインターネット上にもご意見箱を設置したらというアイデアで早々と設置されました。」と事務部総務課の小杉さんはおっしゃいます。

「本当ならば、掲示板ももっと続けたかったのですが…」という小杉さんに、中止の理由を尋ねると、こういう答えが返ってきました。「掲示板は、真実もそうでないものも自由に書き込めますし、人それぞれに違う感じ方・考え方がありますので、それが間違っているとも言えません」「お褒めの言葉もおしかりの言葉もありましたが、やはりそれを他の皆さんと即時に共有できてしまうインターネットという場所に公開するのは少し問題かなと思い、中止致しました」なるほど、ストレートに情報共有できる場として掲示板サービスは有効な手段ではありますが、運用するには色々な問題が多いのですね。
「e-ご意見箱」に寄せられるご意見は、リアルなご意見箱の投書と合わせて全体会議で回覧されます。このご意見により、駐車場を拡張したり待合室を改善したりしてきました。「これからも、大切なコミュニケーションのツールとして活用していきたいと思っています」。

    赤ちゃんの写真を壁紙に

 実は、『恵生会病院』の産科は、「お産をするならあそこ」と地域の女性から指名される程の人気病院です。そんな病院ならではのサービスとして始まったのが、「モバイル・i−児画像プレゼント」企画です。愛児とi−児のしゃれが絶妙のネーミングですね。病院で産まれたばかりの「愛児」の写真を、iモード携帯の壁紙として利用いただけるよう、画像をメールでプレゼントするという企画でしたが、残念ながら3ヶ月で終了となってしまいました。これは、「あまりにも人気が高く、維持するだけの人手が無くなってしまいまして、楽しみにされていらした方には申し訳なかったのですが終了いたしました」とのこと。是非再開して欲しいサービスですね。

 このように、「地域に愛され親しまれる病院」が考えたホームページは、患者さんや、そのご家族とのコミュニケーションを大切に考えた双方向のコンテンツが中心でした。2001年春、新館がオープンし、それと同時にまた新たなコンテンツが増えました。それは、『恵生会病院』ならではの暖かいサービス です。




もとはと言えば一人のドクターが始めたホームページ。そこで始まったサービスは、普通の病院が考えるコンテンツとはひと味もふた味も違うものでした。






    e-お見舞いメール

2001年4月、『恵生会病院』は、新館を竣工しました。それに伴う喧騒がやっと落ち着いた7月から、ホームページに新たなコンテンツが増えました。それは、「e-お見舞いメール」です。これは、入院中の患者さんに対し、お見舞いメールを送ることができるサービスです。「はじめはただの白いコピー用紙に印刷していたのですが、それじゃ味気ないので、男女別の色紙に少し体裁も入れて印刷しています。」と事務部総務課の小杉さん。
「今後は色々な柄を選んで頂いたりと、サービスアップの予定」だそうです。やはり患者さんの病状が一番大切なことですから、送られてくる内容は、2重3重のチェックを受けます。もしも患者さんにとって負担になるような内容であれば、病棟チェックでNOが出ます。「でも、お陰様で今までそういう内容は1件もありませんでした。」「多い月で30件ぐらい受け取りますが、今後もっと広報すれば、まだまだ増えると思います。」とのこと。遠方でお見舞いに行きたくても行けない人にとって、手軽にお見舞いメールが出せるこのサービスは、うれしいものに違いありません。

    モバイル・ページ

 続いて2001年11月には、モバイル・ページも本稼働。「e-お見舞いメール」サービスは、「i-お見舞いメール」というネーミングでサービスイン。送迎バスの時刻表や診察案内など、パソコン利用と変わらない内容を提供中。今や、インターネットの『恵生会病院』は、病院の窓口として八面六臂の活躍をしています。

『恵生会病院i−モード用モバイルページ』 http://www.keiseikai.or.jp/mobile/

 その他、地域に愛され親しまれる病院としては、人間ドックの申し込み窓口や、新たに診療の1つとして加わった「ショート・ステイ手術」の広報役などまだまだ活躍の場が拡がっています。

    ホームページを知ってもらわないと

「あるときホームページ作成の仕事をしている方がご入院されましたが、その方には沢山のお見舞いメールが来ました。やはり、メールを普段使われる方かどうかで、このサービスに対する注目度も違っているのだと思います」。こうおっしゃる小杉さんは、ホームページ上のサービスをより多くの皆さんに使っていただくためには、広報が重要と考えています。
その一つとして、『恵生会病院』が導入したリアルなツールがありました。




「地域に愛され親しまれる病院」が考えたホームページは、広報ツールにより徐々に地域に浸透していきました。






    会計とお薬

「病院に通院したことがある方ならばご存じだと思いますが、診察を受けた後、会計とお薬で順番を待たなければなりません。普通であればテレビが放送されていたり、雑誌がおいてあったりするこの場所に、『恵生会病院』は一工夫。ここでは設置されている液晶モニターに、数々の医療情報が絶えず流れています。取材を待つ間ずっと眺めていたのですが、一度たりとも同じ情報は流れませんでした。
「大体一回り30分ぐらいの内容になっています」とおっしゃるのは、事務部総務課の小杉さん。一体あれは何ですか?という私の問いに気軽に答えてくださいました。「メディウインドゥというサービスを契約しています。これは、こちらが出したい独自のコンテンツと、一般的なコンテンツを組み合わせて配信してもらうサービスで、とても便利なんです。」
 これは、「メディアコンテンツファクトリー」という会社が提供しているサービスです。病院側が、モニターを通じて提供したい情報をメールや各種メディアで会社に送ると、契約しているサービスに合わせて一般的なコンテンツとミックスして、直接モニターに配信されるというものです。
「うちでは、放送が始まる前にコンテンツを送ってもらい、内容の確認をしてからGOサインを出しています。」「ホームページの内容や、e-お見舞いメールについては、ここでしっかり広報して、待ち時間の皆さんに覚えていただくよう考えています」とのこと。一度この病院で受診された方々ならば、インターネットのコンテンツのことをしっかりご理解いただけるという狙いなのですね。


    これからのITへの取り組み

 1回目の冒頭でも書きましたが、今年のe-JAPAN構想では、医療分野のIT化が重点項目としてあげられています。カルテを中心とした個人情報の管理、複雑化するレセプト業務。これらは社会的なニーズの高まりと、コストセーブによる経営の安定との両方からの要求で、IT化が避けられない部分です。「中規模な病院ではトップを走ることはできませんが、時代のニーズへの対応ということで、色々な勉強会に参加している」とおっしゃる小杉さんは、これからの恵生会病院のITキーマンです。
「地域に愛され親しまれる病院」で、なおかつ「時代に合った病院」であるために、小杉さんの努力は続きます。 ユニークなホームページコンテンツを、是非とも続けていただきたいと願って今月の連載を終わらせていただきます。最後までのご愛読ありがとうございました。


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