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「図面の一元管理システムを自社開発」
      〜独自商品で市場をつくる、中農製作所〜
東大阪で金属加工・部品製作などを手がける(株)中農製作所。東大阪の中小企業の例に漏れず、中農製作所も製造受託が中心の会社です。「自社がメーカーとなり製品を製造販売することは夢でした」。そう語る専務兼事業開発部長の川西さんが指し示すのは、なにやら図面がいっぱい収納されたスチール棚。棚の右上にはパソコン画面が内蔵され、図面を吊り下げた金属棒の根元には、赤いパイロットランプが点灯している…。これが、東大阪で話題を呼んでいる「生産管理対応図面保管棚システム」。川西さんに独自商品開発の経緯をお聞きしました。


    まず、どんな棚なんですか?

■現場で使う図面を整理する棚
 中農製作所は金属加工・切削が仕事です。現場で使用している図面は、図面ハンギングホルダー、図面キャビネット、マップケースなどで図面を保管していました。これらは、保管能力はありますが、紛失や図面間違いなどの人為的ミスがおこりやすいのが欠点でした。

「そこで、図面の取り出し・返却の行為を管理することで工程の進捗状況、工数のデータ、品質データ、加工時間などを自動収集する図面棚システムを作りました」。それが、「生産管理対応図面保管棚システム」。現場での工務を管理室で一元管理できるうえ、誰がどの図面を持ち出しているかリアルタイムに把握でき、図面間違いも起こりようがないという画期的な図面保管棚です。「金属加工や部品製造など、我々の同業者はすべて図面をもとに作業をします。だから、図面をきっかけにして、作業・品質・労務を管理できるシステムがあればどんなに便利か」と考えた結果、生まれたそうです。

    品質管理、効率管理がなければ生き残れませんね

■図面が管理できなければ品質も管理できない
「図面の管理に困っている工場は多いですよ」川西さんは、中小規模の同業者の様子を思い浮かべている様子です。今や生産管理=納期管理は当たり前。製作期間が定められているので、納期から逆算すれば、いつ着手すべきか指令できる。人手、時間、工程を合理的に管理することで、生産単価の圧縮と品質管理を実現できるといいます。従来は、経験によってリーダーがそうした指令を口頭で伝えていました。金属加工業でも、とくに図面が示されず、あうんの呼吸で生産される場合もあったといいます。
「しかし、これからは生産現場も管理を徹底させるべきです」。川西さんは確信を持ってそう語ります。

    でも、面倒な管理は現場になじみますか?

■簡単、便利、スピーディを追求
 管理が大事といっても、今までの仕事の手順の他に、何か違う動作を組み込むのは、作業員がいやがりませんか?
「仕事のやり方を変えるのは、なかなか難しいでしょうね。だから、私はいつも現場に欠かせない図面を通して、管理ができる方法を追求しました」。図面を保管する棚を情報発信と収集の道具に使う発想です。図面を持ち出す→それが作業の開始。図面を返却する→それが作業の完了。
誰に、いつ、どの図面を使って、なにを、どれだけ生産させるか。その指示が、この棚を通して指示できるし、同時に離れた場所でリアルタイムに一元管理できるんです。




いつものように、図面を使って生産加工に取りかかる。その手順のまま、生産管理ができる。画期的な試作品が、いま、目の前にあります。でも、この棚が生まれたのは、どんな背景があるのか






    なぜ、この棚を開発しようと思ったのですか?

■図面の整理から試みがスタート
 当社でも、金属加工には図面が欠かせないのですが、図面管理にはけっこう気を使うんです」川西さんは語ります。
まず、図面が紛失したり、行方不明になったりするケース。誰が、いつ、どの工程を行っているか、厳密に把握できないことに起因しています。「図面の管理に困っている工場は多いですね。

 この商品を展示会に出品すると、けっこうそんな声がきける。つまり図面管理のニーズが高いということです」。いまどのくらい加工が進捗しているか。今までは加工現場に行って、いちいち見て回られければわかりませんでした。「加工実績がすぐに分かるというのは、スピード第一の時代に欠かせません。本社管理セクションのパソコンですぐ見える。さらに加工実績、不良品の個数など個人の仕事ぶりもつぶさにわかる。これからは町工場もこのように生産管理する必要があると考えたのです」。

    やはり経験が生んだ発明なんですね。

■異業種の経験が役立った
 この業務に相当なご経験があるとお見受けします。「いや、私は4年半前に当社に入社したんですよ」と川西さん、意外なお答え。
そもそも産業機械のエンジニアだったそうです。「西陣織を織るため、従来の紋紙を使わずに電子データを直接、紋紙と同じ機能をもつメカトロ機器を開発・製造していました」。
 織機業界から、金属加工業界へ。業種は違えども、メカニズムとエレクトロニクスで課題を解決する手法は同じ。そこで、中農製作所に専務として迎え入れられても、そのエンジニアの血が騒いだ。「幸いパソコンも高機能・低価格化しており、一気に開発に取りかかりました」。とはいえ、試作モデルが姿を現すのに4年の歳月が流れていました。




カタチのないものをカタチにする。いくらエンジニアでも、新たにモノを作り出すのにはものすごく膨大なエネルギーが必要だと思います。試作モデルの実現に、どんな紆余曲折があったのか。どんな秘策を編み出したのか。






    試作化にあたってどんな困難が?

■やり遂げるという情熱
「取材で中小企業の現場を回ると、各社がそれぞれにすぐれた要素技術をお持ちだということに驚かされます。しかし、せっかくの宝物も、それを具現化して、世の中に製品として提案していくことができるかという視点でみると、そこまで行ける会社はそう多くないようです。

 「言われたことを作る」のではなく、「やむにやまれぬ必要性から提案していく」モノづくりは、そう簡単にできるものではない。なぜか。提案型の製造という段取りを、経験したことがないからわからない。お金がない。時間がない。人手がない。なにより、やり遂げる情熱がない。そんな「現実」に直面してしまうのでしょう。

    中農製作所は「トクベツ」なのか?

■やり遂げるための、あの手この手
 厳しい現実が待ち受けているのは、なにもあなたの会社だけではありません。中農製作所も、日本の製造業・中小企業が置かれている逆風下にあることは事実です。しかし、その境遇に甘んじないのが、川西さんのすばらしいところです。

[1]人手、技術的サポートをどう乗り越えたのか。
川西さんは、試作機の実現にあたり、公的専門機関のサポートを仰ぐことを考えたそうです。「電子回路などの基板作成にあたり、大阪府立産業技術総合研究所(略称:産技研)の協力を得ました」。産技研は『開放と交流』の理念の下、中小企業の技術支援と大阪産業の技術競争力強化・振興を目指す公的施設です。自社に専門の開発要員がなくても、相談によっては大きな力になってくれる専門機関。これを活用することにより、低コストで試作機を実現することができました。

[2]お金の難関をどう乗り越えたのか。
金融機関が貸し渋り、貸しはがしに余念がないこの時代、もう一つの手は公的補助金です。中農製作所は、大阪府技術向上奨励費補助金を申請。「たまたま、産技研が府の施設ということもあって、補助金の給付決定がスムーズに運びました」。

[3]技術援助をどうやって得たか。
日本有数の生産技術の集積地である東大阪ならではのメリットもフルに活かしました。機械部品の調達、加工、組立など、東大阪ならアライアンスをとれる企業が豊富にあります。「試作化に様々な技術協力が得られ、東大阪のパワーを実感しました」
川西さんはそう振り返ってくれました。




そして、ついに日の目をみた「生産管理対応図面保管棚システム」の試作機。話題が話題を呼び、マスコミでも報道されました。試作機ができれば、次は実際の販売です。製造業にとって販路の開拓は、もっとも苦手な課題(のはず)。その壁に、どう挑むのか。






    試作機はどこで見られるのですか?

■展示会への出品でアピール
「我々は生産のエキスパートだが、販売についてはからっきしノウハウがない。下請け・孫請けになると、独自製品を作ったからといってすぐさま販路を開拓できるわけではないのです」川西さんの声は真剣です。
販売をどうするのか。「生産管理対応図面保管棚システム」のターゲットは、20〜300人規模の同業中小企業。東大阪には、豊富な市場が存在していることになります。「こうした同業者のニーズは手に取るようにわかる。それが強みですね」と川西さん。

 そこで、同業者が集まる技術展示会などに、試作品を出品しアピールするようにしているそうです。ひとつは、このほど東大阪に完成した新事業創出型事業施設「クリエイション・コア東大阪」における展示。また、在阪製造業の工業製品、技術等を一堂に展示PRすると共に、出展企業の取引拡大に寄与する10月大阪での「機械要素技術展」へ出品します。「しかし、関西では集客力も限られている。今度は、東京で開催される“中小企業テクノメッセ2003”に出して全国的にアピールしたいですね」。


    販売における意気込みは?

■今年度中にモニター販売を行いたい
「これからの時代は、生産管理の文化がないと生き残れません。だから、この『生産管理対応図面保管棚システム』を運用するため、生産管理ソフトとセットでの販売を考えています」。つまりソフトウェアハウスとのコラボレーション。「もちろん、生産作業という現場のニーズから上流の生産管理ソフトへの波及もありうるわけで、ソフトウェア会社と連携して販路を開拓したいですね」と川西さん。
気になる価格は約100万円(コンピュータ付属)。
それはそうと、「生産管理対応図面保管棚システム」という名前、なんか舌をかみそうなんですけど…?「うーん、あまりにカタイてすかね。愛称を募集しましょうか」。


というわけで、(株)中農製作所では「生産管理対応図面保管棚システム」に替わる
愛称を募集中。お気軽にメールしてみて!もちろん、お問い合わせもお気軽に!



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